- 著者インタビュー
- 社会
基本的に学校ではできないと考えたほうがいいですね。帰宅してからか、長期休業中にまとめてするか、休日にしています。夜、就寝前に読書時間は必ず1時間は確保すると決意してやります。クラブ活動は陸上部の顧問でしたから、土曜日や日曜日は試合が多かったです。審判の合間に喫茶店に行き、読書する時間を確保していました。
一言で言えば、経験と他の実践から学ぶことだと思います。若いころは一冊の本を読んでも、新聞をみても、面白いネタはせいぜい1本程度だったのですが、経験を積む中で、一冊の本から、教材へのいろんな料理の仕方ができるようになります。また、経験を積むと子どもは、どんなことに興味を持っているのか、どんな教材に意欲を示すかがわかるようになります。また、私は、書籍や雑誌、そしていろんな研究会に出かけ、他の実践から学ぶよう心掛けています。そこで他の実践者の発想に学びつつ、自分のものにしていくということを意識的に追及しています。
一言でいえば「子どもの輝く顔がみたい」ってことです。授業が終わったときに「今日の授業は面白かったな」という声を聞きたいからです。さらに言えば「楽しくわかる授業」をする先生を好きにならなくても嫌いにはならないでしょう。これは、授業以外の学級経営や生徒指導にも生きてきます。つまり、子どもとの信頼関係を築く上で、不可欠だということです。
中学1年生くらいは、けっこう発言しますが、徐々に発言しなくなりますね。それは思春期になると仕方ないことだとは思います。ただ工夫により活発に発言する授業は可能です。鉄則は、@教科書に書いてある内容などは発問しないことです。つまり、明らかにわかっていることを発問しても、最初は答えていても、バカらしくて答えなくなるからです。「答えたい!知りたい!」という発問を準備することが大切です。A授業方法の変化です。一問一答だけではなく、ペア学習、班討議、ディベート、フォトランゲージ、ロールプレーなど、さまざまな手法を用いて発言する機会を作ることです。B班競争も有効です。クイズなどはテンションをあげるために、得点集計をし、月ごとに賞状を与えたりしています。成績とは関係ありませんが、意欲を喚起します。
授業中、面白くないと「寝る」「私語」「騒ぐ」「エスケープ」をくりかえす中学生。こんな中学生がクラスに数人いると、怠惰な雰囲気が蔓延し、教師に対する不信感もでてきます。
こんな中学生にあって「すべての生徒が意欲的に参加する」というのは、あくまで“たてまえ”であって、現実は不可能だという声があります。それは、「学力低位層」「意欲のない」生徒に合した授業だと、満足しない生徒が少なからずでてくるからという理由からです。
ただそれなら、“学力差”のない授業をすればいいのです。
すべての生徒が、興味をもち、追求したい課題を設定し、生徒同士の“対話”により、いろいろ意見を言いながら、結論を共有する授業です。
そこで、また、同様に、それもまた“たてまえ”だという声。
しかし、私は自信を持って言いたいのです。
「教材」「発問」「討議課題」「授業方法」の改善により、そのことは可能だと!
本書では、37年間の生徒との「格闘」(?)の中で培ってきた、その“極意”を紹介しました。読者の先生方のご実践の参考になれば、とても嬉しいです。