著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
クラスを1つのチームにする学級通“心”
東京都公立中学校教諭合田 淳郎
2014/2/25 掲載
 今回は合田淳郎先生に、新刊『スペシャリスト直伝! 中学校 クラスづくりの核になる学級通信の極意』について伺いました。

合田 淳郎ごうだ あつお

1963年東京生まれ。
東京都公立中学校の国語科教師。文教大学中等教育課程国語科専攻卒業。東京都認定講師。教育研究サークル「道徳のチカラ」東京代表。失敗実践から学び合う「チームじょうきげん」所属。他にソーシャルスキルトレーニングを齋藤富由起氏(千里金蘭大学)に学ぶ。
著書(すべて共著)に、『とっておきの道徳授業』(日本標準)、『児童期・思春期のSST 学校現場のコラボレーション』(三恵社)、雑誌『道徳教育』(明治図書)、雑誌『生徒指導』(学事出版)など

―ズバリ、学級通信を出すと、どんなよいことがあるのでしょうか。

 よいことはたくさんあります。まず、学級が何とも言えず、しっとり落ち着きます。また、生徒、保護者との関係が深まり、信頼関係が厚くなります。さらに、教師自身の資料を見つける目や文章力も鍛えられます。
 中学校の学級担任は自分のクラスの生徒と接する時間が多くありませんが、学級通信を通して学級の共通の課題や目標などを明確にすることもできます。その結果、学級が1つの方向を指向する集団、つまり“チーム”へと成長していきます。

―様々な校務を抱え多忙な中でも学級通信を出し続けるコツを教えてください。

 まず、学級通信をつくる時間帯をあらかじめ決めます。私は週末に翌週の予定見て、空き時間を確認します。そして「火曜日の3時間目に書こう」と決めて、週案(授業予定を記入する冊子)に書き込んでしまいます。
 また、土日などに自宅で学級通信の「つくり置き」をしておきます。書籍や新聞記事やネットで見つけたエピソードを打ち込んでおくのです。最近では、スマホで紙ベースの資料をスキャンするアプリを使っています。簡単、便利できれいにできるので助かっています。

―学級通信は、生徒の生活態度や学習態度にどんな効果をもたらすのでしょうか。印象的なエピソードがありましたら教えてください。

 本書の中でも紹介していますが、忘れ物が多くなりがちなGW明けに備えて「面倒草夫(めんどう・くさお)」という架空の生徒をつくり、忘れ物をするとどうなるのかというシミュレーションを記事にして学級通信に載せました。すると、生徒から「面倒草夫になっちゃうなあ」とか、保護者からも「面倒草夫になったら大変!」という言葉かけがありました。その後、実際に忘れ物がかなり減りました。
 また、行事の前では学級通信が「作戦指令書」の役割を果たし、生徒が同じ方向を目指し取り組む姿を多く見るようになりました。

―これまでに出した中で、保護者から好評だった学級通信はどんなものでしょうか。

 先の「面倒草夫」の記事は保護者アンケートでも大評判でした。しかし、なんといっても、生徒の誕生日に出す「誕生日通心」の評判がよいですね。「思春期に入って、なんだか難しい年頃になってくると、『お誕生日おめでとう』という言葉をなかなか素直に言えなくなってしまいます。そのとき、1枚の誕生日通心に助けられました」という声をいただきました。
 また、「ミニ道徳」として、出している学級通信も評判がよかったです。「夫と読み直しています」なんていううれしいお便りをいただいたこともあります。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 「学級通信の効果はわかるけれど、書くのが面倒だ」という先生方にぜひ読んでいただきたいです。中学校教師は本当に忙しいですが、学級通信は出し続けていくことで大きな成果を上げます。「なんだか生徒が落ち着かない」そんなときこそ、学級担任の想いを込めた1枚の学級通信が効力を発揮するはずです。読者の皆様の学級でも、学級通“心”の花が咲くことを願っています。

(構成:矢口)

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