- はじめに
- 第1章 なぜ学級通信が出せないのか あなたはどのタイプ?
- 0 あなたはどのタイプ?
- 1 「そもそも書いたことがない」タイプ
- 2 「書きたいけれど,ネタがない」タイプ
- (1)「連絡・報告」タイプの大きな落とし穴
- (2)ネタ探しの場を求める
- (3)発信することの大切さ
- 3 「書きたいけれど,時間がない」タイプ
- (1)継続的に発行してこそ効果のあるもの
- (2)書き続けてこそ様々なものがみえてくる
- 第2章 学級通心ってすばらしい! 生徒,保護者,教師をつなぐコミュニケーション・ツール
- 1 「つなぐ」学級通心
- (1)たかが呼び名,されど呼び名
- (2)学級通心で「つなぐ」
- (3)「理解し合う」関係をつくるために
- 2 クラスを「チーム」にする学級通心
- (1)チームとグループは違う
- (2)学級通心はクラスづくりの企画書であり,作戦書であり,哲学書
- 3 保護者もチームに引き入れる学級通心
- (1)保護者アンケートは「お得意様カード」
- (2)書きっぱなしで終わらない
- (3)アンケートに対する保護者からの反応
- (4)わかり合えないなら,わかってもらう努力を
- (5)自己開示のツールとしての学級通心
- (6)多忙を言い訳にしない
- 4 中学校のクラス担任だからこそ
- 5 クラスづくりと学級通心
- 第3章 学級通心のネタ探し 24時間360度,いつでもどこでも
- 1 学校行事はネタの宝庫!
- (1)学級通心で学校行事への取り組みが変わる
- (2)運動会で学級通心を出す
- (3)合唱コンクールで学級通心を出す
- (4)学校行事で学級通心を出すときの編集方針
- 2 クラス担任の好きな授業と学級通心をリンクする
- (1)学級通心を資料にした「ミニ道徳」
- (2)ミニ道徳の進め方
- (3)ミニ道徳で生徒に伝えたいこと
- (4)たった5分,10分のため…だけど
- 3 学級通心で生徒の誕生日を祝う
- (1)誕生日通心
- (2)誕生日通心でちょっとしたサプライズ
- (3)誕生日通心は中学2年(14歳)で
- (4)誕生日通心のネタ本
- 4 「君」へ贈る学級通心
- (1)生徒の隠れたよい行動をメモする
- (2)悩み多き「君」へ贈る
- 5 新聞で毎朝5分のネタ探し
- (1)新聞の存在価値は大きい
- (2)ネタ探しのコツ
- (3)集めたネタの保存方法
- (4)投書欄は要注目
- (5)地方紙の情報は生徒へのお土産
- 6 ネットでのネタ収集にはご用心!
- (1)いい話ほど危険
- (2)情報を見極める
- 7 本の中から「ことばの花束」を贈る
- (1)本で見つけたネタをあわてて使わない
- (2)ことばの花束
- (3)日めくりカレンダーや詩集もおすすめ
- 8 教室の様子を取材する
- (1)自分のクラスだけの様子を伝える
- (2)生徒のよい行動だけ記録する
- (3)一隅を照らす仲間の存在に気付かせる
- 9 写真を有効活用する
- (1)プライバシーへの配慮を忘れずに
- (2)フォトムービーでクラスをまとめる
- (3)写真を通してメタ認知させる
- (4)写真撮影の際意識すること
- 第4章 学級通心を出し続けるコツ 継続してこそ意義がある
- 1 学級通心を出し続けるために
- (1)1週間に1号以上を目標に
- (2)パソコン作成のよさ,手書き作成のよさ
- 2 学級通心のフォーマットをつくる
- (1)サイズ
- (2)内容の配置
- (3)タイトル
- 3 発行日を決める
- (1)宣言してしまえば,発行せざるを得ない
- (2)配布物をきちんと保護者に見せることを習慣に
- 4 いつ,どのぐらいの時間でつくるかを決める
- (1)時間を決めることは大事
- (2)何を書くか大まかに決めておく
- (3)学級通心のつくり置き
- 5 出し続けるためのレイアウト
- 6 見出しは生徒に伝えたいことをズバッと
- 7 あえてひと手間かけたいこと@―読み直しと読み聞かせ
- (1)読み直しは時間を惜しまずに
- (2)必ず読み聞かせる
- 8 あえてひと手間かけたいことA―学級通心の感想を聞く
- (1)周囲の先生に目を通していただく
- (2)保護者に読んでいただくために
- 9 学級通心が出せない状況になったら
- (1)工夫して他の方法を見つける
- (2)それでも難しいときは…
- 10 学級通心を出し続けるポイント
- (1)出し続けるのは簡単ではないけれど…
- (2)学級通心の三大禁じ手
- おわりに―感謝を込めて
はじめに
中学校教師は多忙です。
授業,学級経営,部活動,事務仕事(これが結構やっかい…)などなど,やりたいこと,やらなくてはいけないことに追われています。勤務時間内に退勤できる日なんて,年間何日あることでしょう。
そんな忙しい毎日で,学級通信を書く時間がいったいどこにあるのでしょうか?
そして,そもそも学級通信なんて出す意味がどこにあるのでしょう?
とはいえ,この本を手にとってくださった読者の方ならば,学級通信にまったく関心がないということはないはずです。学級通信には何かしらの力があるのでは…と感じられているのではないでしょうか。
さて,私は公立中学校の国語科の教師です。
何でもテキパキこなし,職場の信頼は厚く,生徒指導もバッチリ! …というような,世にいうカリスマ教師ではありません。むしろ,その真逆の教師です。教職経験は27年を過ぎましたが,その過程を思い出したら,穴を掘って逃げ出したいほどの失敗の連続です。つまり,私はどこにでもいる普通の教師です。
ただ,教職経験の中で,国語の授業以外でずっと続けてきたことがあります。それが,「学級通心(信)」です(私は,学級通信を学級通「心」と呼んでいます。学級「通信」ではなく,学級「便り」でもない理由は,後ほどご説明します)。学級担任を外れた時期もありましたが,その年も,学年通信や教科通信,道徳通信を出し続けました。
そのような経験を通してわかったことを,この本でまとめてご紹介します。
私が学級通心を27年以上書き続けてきた背景には,自分自身の中学生時代の体験があります。
私はベビーブーム世代なので,東京郊外のマンモス中学校に通学していました(確か1学年でK組(11組)までありました)。私が中学2年生のときのクラス担任・鶴巻武先生は,ほぼ毎日,学級通信「に・えいち」(2年H組だったから,「に・えいち」です)を発行されていました。
もう三十数年昔のことで,もちろん今のようにパソコンもワープロもありませんでした。先生はガリ版(若い先生方は見たこともないと思いますが…)で印刷されていました。つまり,手書きのプリントだったのです。
ともかく,鶴巻先生のお陰で,私にとって中学校に学級通信があるというのは当たり前のことになったのです。
鶴巻先生は,学級通信を通してときには生徒を励まし,ときには叱り(めったにありませんでしたが),ときには喜ばせてくださいました。鶴巻先生の学級通信は,何より読むのが楽しいものでした。
ですから,中学校教師になったとき,真っ先に「学級通信を出したい!」と考えました。
そして,気が付けば27年以上も学級通心を出し続けていたのです。
しかし,上で述べた原体験だけでは,おそらくここまで続けることはできなかったはずです。やはり,学級通心そのものに大きな力があるからこそ出し続けられたのだと,最近ようやく自分でもわかってきました。
本書では,そんな学級通心のもつチカラを感じ取っていただきたいと思います。本書を通して日本中の先生方がそれぞれの個性を発揮した学級通心を出され,生徒がより充実した学校生活を過ごせるようになるのなら,この上ない喜びです。
/合田 淳郎
-
- 明治図書
- 実践的なことがたくさん載っており、連絡をとればデータを送ってくれる、とても助かりました!2018/1/27なかっぱ
- 今年度から初担任なので、学級だよりの工夫がわかりました。2016/6/1720代・中学校教員
- 著者の、学級通信に対する想いを知ることができ、大変参考になりました。2015/6/8パラグアイで死ね
- 中学校こそ、学級通信は必要だし、その効果は小学校の比ではないと、経験上からも納得できる。通信においても生徒と大人の会話ができるのもいいなぁ。2014/8/19學び魂