職員会議の案件は膨大です。かつてのように教職員組合が職員の輪を取り持つ時代も過ぎ去りました。教師がそれぞれの教育観・子ども観を真剣に闘わせながら話ができる場所は、いまや学校では校内研修の場だけなのではないでしょうか。とすると、その場が十分な話し合いの場として機能するしかけが必要になるはずです。
校内研修は年間を通じて行われます。一時間だけが充実しても意味がありませんし、かといって、一回一回の充実なくして年間の取り組みの充実もありえません。通年の計画と典型的な一時間の流れを載せたのは、普通の先生方が取り組む校内研修の日常がイメージしやすいようにという工夫です。
今、校内研修は、学校を取り巻く状況の厳しさを背景として、新しい形の模索の時期を迎えていると考えています。固定したイメージを壊して新しいものを創りだす必要に現場は迫られているように思います。そのために多様な校内研修の内容・形態の提案になるように、全国各地の実践者に依頼をしました。
ワークショップ型研修には、一斉レクチャー型とは違う運用上の難しさがあります。活動の趣旨が十分に理解されて、一人一人の成員が十分に自分の役割を果たせば、大変効果的です。
反面、フリーライダー(意見を出さずにアイデアだけをもらってしまう人)も出かねません。また、従来型に慣れたベテランの抵抗に遭うこともしばしばあります。なぜその方法なのか、その方法で取り組むことの価値はなんなのか、そういうことをしっかりインストラクションし、職場の先生方に理解していただくのは骨の折れることです。一度二度楽しい雰囲気づくりを図るためにワークショップ型研修を取り入れても効果は極めて限定的です。
冒頭で述べた通り、研修は通年のルーティンワークなのです。ホームランではなく、アベレージをあげる取り組みがなくては学校の財産にはなりにくいと考えます。
ワークショップ型研修に代表されるこれまでとは違う形式の研修手法はずいぶん広まりました。ですから、そうしたものに取り組んだだけで、素晴らしいと言われる時代はとっくに過ぎています。
一方で、名ばかりのワークショップ型研修、ファシリテーション系研修もどんどん増えていて、一部にはうんざりだという声もあがるようになっています。質が問われる状況の中で何が問題なのか、肝はどこなのか、本書の多様な実践群の中から、いろんな気付きやヒントが得られるのではないかと考えています。
教師が育ち合う学校づくりのために、「校内研修」の在り様をみんなで模索するきっかけになればうれしいです。
4月からの「心の教育」研究に向けて準備をしています。
参考にさせていただきます。