- 著者インタビュー
- 算数・数学
教材が変わると、授業者は改めて算数のおもしろさを再認識します。このことが、算数好きの児童を増やすことにつながります。授業の中で、児童の気付きが増え、発言も多くなるでしょう。また、アレンジした教材を解決して終わりとはならず、新たな疑問が児童から生じることも考えられます。その疑問を次時で取り上げる場合もあります。当然のことですが、ねらい、発問、児童の反応、板書、まとめ等、授業の様々な要素が変わってきます。
25の手法が最初からわかっていたわけではありません。教科書などで見かける教材をひと工夫して、もっと授業がおもしろくなるように変えたいと考えました。どの教材もいくつかの要素からできています。その要素を別の要素に置き換えてみるのです。その変え方を本書では手法としてまとめました。1つの教材に対して、どの要素をどのように変えるかという試行錯誤を繰り返します。多くの教材を実際にアレンジしてみた結果、25の手法にまとまりました。このうち、「オープンエンド」と「条件変更」という手法は、以前読んだ本で知っていました。
普段の授業では、教科書の教材をそのまま使うことが多いと思います。本書で取り上げたBeforeの教材も、そのほとんどがどの教科書でもみられるようなものです。しかし、アレンジすることでAfterのようにかなり変化します。日々の授業準備の1つとして、教材をアレンジすることを試みていただきたいと思います。最初は25の手法を意識して、その中のいずれかの手法を使ってアレンジしてみてください。アレンジの手法は25に限定されるものではなく、他にもたくさんあるはずです。新たな手法に気付かれたら、それをメモしておき、別の教材のアレンジにも活用されるとよいと思います。
児童に算数がおもしろいと感じさせるためには、まず授業者が算数をおもしろいと実感することが大切です。そのために、見慣れた教材であっても、ひと工夫することを日常的に継続したいものです。私自身、小1から中3まで9学年分の教材を様々にアレンジしてみて、改めて算数・数学のおもしろさを再認識しました。授業者がおもしろいと思えなかったら、児童にそのおもしろさは伝わりません。忙しい中でも、教材に向き合う時間を確保し、楽しい算数授業づくりの準備をしてみてください。