- 著者インタビュー
- 特別支援教育
私たちは、子どもの成長を願い、授業づくりに臨みます。障害のある子どものためにいろいろな教材が工夫され、授業展開の技法が盛んに開発されてきました。しかし、期待するような成果を引き出すことがなかなかできないのも事実ではないでしょうか。つい「一般の授業方法とは異なった特別な方法でなければ対応できないのでは?」と不安になり、悩んだりします。そこで大切なのが「子どもを変えようと焦るのではなく、そもそも授業づくりの魅力は何だったのかに立ち帰る」−この姿勢だと考えます。この姿勢が、授業への不安をなくし、子どもたちとともに授業づくりに取り組むバネになると考えています。
複数の子どもを同じ時間、同じ場所に集めて授業をしたら、子どもたちは互いに意識し合います。例えば、授業において一人の子どもが指名され、詩を読んだり、動作化したりすると、周りの子どもたちはその声を聞き、動作を見て互いに学びを深めることでしょう。こうした学び合いを大切にすることで、集団の教育力が高まっていきます。このように、本書では、子どもどうしの関わり合いをどのように引き出し、授業を発展させるかについてたくさん解説しています。
アセスメントと実態把握の違いや、主体的学習や集団指導など、現場で何気なく使われているキーワードを取り上げてます。また、教材開発や授業中の発問・板書・揺さぶり・授業のヤマ場づくりなど、楽しい授業を創造するために欠かせないキーワードをわかりやすく解説しています。
本書は、わが国の授業研究をリードしてきた吉本均氏の教授学研究の論理(『授業をつくる教授学キーワード』明治図書、1986)から学び、それを特別支援教育の場でさらに発展させることを願って企画したものです。「私たち教師は、授業づくりのキーワードを持つ専門家なのだ」と常々語られていた吉本氏の考えをベースにして、主体性を育てる授業づくりの教育方法論を満載しました。
この本は、はじめて特別支援教育に携わる先生から、ベテランの先生まで幅広い先生方に読んでいただける本となっています。本書を参考書にして、学校現場で先輩と後輩が授業について語り合うきっかけにしていただけたらとても嬉しいです。