検定教科書を使用した「道徳科」の授業を、本格実施以前に具体的なイメージをもとに構想し、創意工夫のある展開を試みることができるということです。文部科学省の説明によると、小学校での検定教科書の使用は平成30年度からであり、中学校は翌平成31年度からということです。だからといって、それまでの間、これまでどおりの道徳授業をしておくということではなく、検定教科書の一つのモデルとしての側面も有する道徳教材『私たちの道徳』を最大限に生かした道徳授業に取り組んでおくことは、各校における新学習指導要領のもとでの道徳教育充実に向け、極めて有意義なことといえます。
今回の改訂では、検定教科書の使用後も、教科書だけでなく多様な教材を併用することが求められています。そうした意味からも、本ガイドブックに紹介している事例を参考にして、読み物資料を一部に含む道徳教材『私たちの道徳』の効果的な活用に取り組むことで、副読本との併用のノウハウをつかんでいただけるのではないかと思っています。
道徳教材『私たちの道徳』は、道徳の時間はもとより学校の教育活動全体を通じて、また、家庭や地域においても活用されるものとして作成されたものです。加えて、このたび示された中学校学習指導要領案には、「学校における道徳教育は、特別の教科である道徳(以下「道徳科」という。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり、道徳科はもとより、各教科、総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれの特質に応じて、生徒の発達の段階を考慮して、適切な指導を行わなければならない」とあります。これまでの道徳の時間と同様に、道徳科の時間も学校における道徳教育の「要」として位置付けられているものであり、道徳教材『私たちの道徳』が他教科や領域でもその機能を十二分に発揮できるよう、本ガイドブックを大いに活用していただければと思っています。
このたびの中学校学習指導要領案において、道徳科の目標は次のように示されています。「(前略)よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため、道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としての生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる」
ここで求められている目標を実現するための道徳授業づくりのポイントは、4点です。第1は、目標中に示された学習活動となるために効果的な教材を選定し活用することです。第2は、各時間のねらいをより具体的なものとして明確化し、そのねらいの達成につながる発問をしっかり吟味して設定することです。第3は、生徒はもとより、時にはその授業に参加している者の、多様な感じ方・考え方が大いに交流される場を大切にすることです。そして第4は、生徒における毎時間の授業の振り返りや受け止めを授業の改善・充実に生かすことだと考えています。
本ガイドブックには、これまでのQに対する回答のエッセンスが、具体的な実践事例と共にすべて盛り込まれています。新たな道徳科の授業にもつながる、生徒の心に届き、心に響く道徳授業づくりに大いにご活用ください。
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- けいこ
- 2015/7/9 9:41:20
柴原君に会いたいなあ