- 著者インタビュー
- 特別支援教育
現在、授業のユニバーサルデザイン化に代表されるように、通常学級での特別支援教育の取り組みが注目されています。しかし、様々な実態のある子どもたちの教育は、「多様な学びの場」で行われています。本書では、「多様な学びの場」における子どもたちの学びの姿を浮き彫りにすることで、多くの先生方に多様な実践イメージを持っていただく一助になることを願って編みました。
すべての子どもたちが、自身の居場所を持ち、安心して生きていける「小さな幸せのかたち」を目指していくのだと思います。そのためには、子どもたちと周囲の関係を丁寧に紡いでいくことと、それぞれの子どもの力を伸ばしていく教育の両方が求められます。日々の実践の方向性をこの両面から検討しつつ進めていくことが重要だと考えます。
読者がお仕事をなさっている場ではないところの実践に注目していただければと思います。同時に、これまでに、あまりおつきあいなさったことのない「障害」のある子どもの学びの姿にもまなざしを向けてみてください。それは、教師としての「見方」の幅を広げ、実践イメージを豊かにするきっかけになると思います。
子どもたちは、日々の暮らしの中で、喜んだり悲しんだり、困ったりしながら進みます。まずは、暮らしの中の子どもたちの姿と感情にまなざしを向けることだと思います。その際に「どうして○○をするのだろう?」と不思議な気持ちを抱いてみてください。その要因の1つに障害特性が関連していることが有ります。そこで、障害特性に応じた指導の意味が見えてくるのだと思います。
本書では、「多様な学びの場」で長年実践を重ねてこられた先生方に、最も伝えたいことを実直にお書きいただいきました。それゆえ、内容の統一性はなく、記述の重点もバラバラです。しかし、これこそが、一人一人の子どもに応じた教育の多様さを象徴しているのだと思います。皆様には、ご自身の立場とは違う実践を知りつつ、ご自身の実践と重ねて楽しくお読みいただければ幸いです。