著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
実践者による、実践者のための『学び合い』ガイドブック
東京都立科学技術高等学校教諭今井 清光
2015/8/19 掲載
 今回は今井清光先生に、新刊『THE 『学び合い』』について伺いました。

今井清光いまい きよみつ

1981年東京生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。私立中学校、高校を経て、2011年より都立高校に勤務。『学び合い』東京の会(おにぎりの会)、教室『学び合い』フォーラムの運営に携わる。『THE 教師力〜若手教師編〜』『THE 教師力アップ〜若手教師編〜』など著書多数。

―今回の書籍は、『THE 教師力』シリーズの1冊として、テーマは『学び合い』です。本書のねらいと、その背景にある先生の想いについて教えて下さい。

 二重括弧の『学び合い』は、理想ではあるけれど、どう実践していいかわからない。あるいは、やってみたけれど上手くいかない。そんなふうに悩んでいる先生が大勢いると思います。
 本書は、一足先に多くの迷いと失敗を繰り返してきた「先達」の実践知をまとめたものです。悩んでいる先生の力になれれば幸いです。

―『学び合い』は授業手法ではなく、「一人も見捨てない」という考え方だと定義されています。この「一人も見捨てない」とはどういったものでしょうか。

 ごく単純に言えば、「自分を尊重してもらうなら、相手を尊重するのが実は一番手っ取り早い」ということなのです。この方針を先生が示して、一定の児童生徒がそれに賛同すれば『学び合い』の成立と言えます。
 あとは、この方針を「学力向上」や「いじめ予防」などの具体的な状況に当てはめて、みんなでそれを目指していくのです。

―本書では小学校、中学校、高校と、様々な校種での『学び合い』の実践が紹介されていますが、まずはじめたい!という先生は、何から取り組めばよいでしょうか。「はじめの一歩」のポイントがあれば教えて下さい。

 本書は悩んでいる先生のための本なので、冒険はしません(笑)。
 一番安全なのは、まずは先生自身が「一人も見捨てない」という方針に従って行動して、その良さを実感することです。表現は「見捨てない」でも何でもいいのですが、先生がこの方針に自信が持てないと、子ども達も迷ってしまうことになります。逆に、納得できれば、何からでも始められると思います。給食指導や清掃指導から始めるのもいいかもしれません。

―「アクティブ・ラーニング」という言葉が注目されています。「主体的・協働的な学び」という定義は『学び合い』と共通する部分も多いですが、「アクティブ・ラーニング」と『学び合い』についてどのようにお考えですか?

 文科省が「アクティブ・ラーニング」で求めていることは、かなりの部分を『学び合い』でカバーできると思います。社会に出て直面するような正解のない問題に挑んでいくためには、他者との協働が不可欠です。これからは、それができる人を育てていかなくてはなりません。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 本当は、『学び合い』を実践して、悩まない人なんていないのです。その悩みに正対し、ご自身の状況に即して考えていくしかありません。
 実践者とリアルにつながれる人は、どんどん相談してください。すぐにつながれる人が周りにいない方のために、本書を作りました。つい最近も、ある実践者から「いい本だけど、私が始めた2年前に出してほしかった」と言われました(笑)。一緒にがんばりましょう。

(構成:及川)

コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 一教師
    • 2015/8/25 4:41:42
    具体的には、どのような実践なのでしょうか。
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