著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「特別の教科 道徳」の授業を始めよう!
広島市立広島中等教育学校教諭水登 伸子
2015/8/27 掲載
今回は水登伸子先生に、新刊『中学校「特別の教科 道徳」の授業づくり 集中講義』について伺いました。

水登 伸子みずと のぶこ

昭和35年広島県呉市生まれ。
広島大学教育学部教科教育学科卒業。
広島市立広島中等教育学校教諭。
広島市中学校教育研究会道徳教育部会部長。

―道徳の教科化が決定し「これから道徳の時間をどうすればいいのだろう…」と思われている中学校の先生方も多いと思います。本書では、授業づくりの様々なことについて解説いただいていますが、まずは何から始めればよいのでしょうか。

 まずは、学習指導要領の解説をきちんと読むことからだと思います。最初から読むと挫折するかもしれないので、自分が一番必要としている部分を探し出して、そこから読んでもよいと思います。他の学校の先生方と「月1回、お菓子を持って集まる『解説編』読書会」のようにしたら楽しいし、実際の授業の悩みも話せますよね。その中にひとり指導的な立場での発言ができるような、ベテランの先生が入っていると完璧です。

―中学校では、「シーンとしてだれも発言しない」といった悩みを抱えている先生もいらっしゃると聞きます。水登先生は、どうやって授業を盛り上げていらっしゃいますか。

 「まず自分の考えを書いてみて」と書かせて、先生はとにかく机の間を動き回って読む!そして「あ、そういう考え方もあるねー」「大人だー!」「うぷぷ」などと独り言を言いながら教室を二巡くらいします。すると生徒たちは「『大人だー!』なんて、いったいあの子は何を書いたのだろう?」と気になり始めます。そこで、「ちょっと○○さんのを読んでみます」とプリントをその場で持ち上げて、先生が読む!(上手にね)。全員「ほおー!」その子「でへへ」…で空気が変わります。

―「小芝居で始める導入」「座談会形式の話し合い」など、本書で紹介されている水登先生の道徳授業はとても楽しそうです。どうしたら、このようなアイデアが思いつくのですか。

 「おもしろそうなこと」にアンテナをはっておくと、いたるところに授業のヒントが転がっていることに気づきます。本書でも「野外活動センターのお姉さん」になってキャンプファイヤーをやるはめになってしまったエピソードが出て来ますが、キャンプファイヤーのゲームなんて、ヒントの宝庫でした。テレビのバラエティを見ていても「これ利用できる!」は山ほどあります。そして肝心なのは、アイデアがわいたら思い切ってやってみることです。

―本書の中には、日記指導や学級通信、学級イベントなどの話題も盛り込まれています。これらはどのように道徳授業づくりと結びついているのでしょうか。

 道徳の授業は、「自分」を表に出していかないといけないので、生徒からすれば、信用できないクラスメイトや感性の鈍そうな教師に対して、うかつに「自分」を出す訳にはいかないのではないでしょうか。普段からお互いに素直な気持ちでかかわることのできる学級でありたいし、私の考えていることも知ってもらいたいと思っています。道徳授業以前に、下地(学級)をしっかりつくらないと、「きれいごと」で終わってしまうので。

―最後に、読者の先生方にメッセージをお願いします。

 私がいつも思うのは「もし自分が中学生だったら」ということ。「この発問で答えられるか?」「この展開で飽きないか?」「この内容項目について『自分もそうしよう』と単純に思えるか?」何年たってもその感覚をなくさずに、あれこれ工夫していくという方法を書いてみました。本書のいろいろなアイデアを、とにかくだまされたと思って実際にやってみてください。「なんとかしたい」という先生の気持ちは、きっと生徒に伝わると思います。

(構成:茅野)
コメントの一覧
2件あります。
    • 1
    • 三浦摩利
    • 2015/9/13 21:03:00
    水登伸子先生、明治図書の「道徳教育」で連載されていた時から、先生の楽しい文章のファンでした。本もすぐに購入し、読ませていただきました。水登先生のように明るく楽しく授業ができるよう頑張りたいと思います。たくさんのヒントを頂きました!!ありがとうございます。
    • 2
    • 橋 一寿
    • 2015/9/26 23:27:22
    お久しぶりです!いつかは先生の「学級づくり」か「国語教育」かの分野の本が出版されるのでは....と思っていましたが、まさか道徳の分野とは!これまでの学級づくりや国語の授業を観ていれば、道徳もありかな!?『若い先生たち』ではないですが、是非とも購入して読ませてもらいますね。牛田中時代の先生との活動を思い起こしながら、読んでみたいです!
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