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教師自身が「教材文を読む」ということです。
「教材文を読む」というのは2つあります。
1つは「音読」です。実際に音読すると、子どもが読みにくそうな言葉や漢字、意味がわかりにくそうな文章に気がつきます。あらかじめ子どものつまずきを察知することができるということです。
もう1つは、「教材解釈」です。教師自身が教材文に向き合って「何かわからないことはないか」「変だ、おかしいというところはないか」などと考えながら、「この問いの答えはこうじゃないかな」「この作品を私はこう受け止めた」などと自分なりの考えや解釈をもつのです。どのように授業するのか考えることを「教材研究」と呼ぶのに対して、自分自身が一人の読者として向き合う読み取りを「教材解釈」と呼んでいます。
まず、単元を通して一番大事な発問を1つに絞ることです。「もしもこの教材で発問が1つしかできないとしたら…」と考えるとよいかもしれません。
1時間(本時)の発問も1つに絞ります。そして、そこに至るまでに必要な発問を準発問として授業を構成していきます。
結果的に発問を1つに絞るとしても、その発問を導くまでに考えたことは決して無駄にはなりません。例えば、子どもたちのちょっとした疑問やつぶやきに敏感に反応することができるようになったり、授業が脱線してもすぐに軌道修正できるようになったりするはずです。
まず、4月の段階で「授業中の黒板は君たち(子どもたち)も使っていいんだよ」と伝えておきます。話し合いの際に、主人公の今いる場所や情景などを黒板で絵にかいて説明したり、黒板に並べた段落番号の札を動かしたりすることはしばしばです。
次に環境面として、短くなったチョークを瓶にためておき「子ども用チョーク」として教室の横に置いています。白チョーク用と色(赤黄など)チョーク用の2つの瓶があります。大きめのジャムの瓶です。ここから子どもたちは勝手に取り出していきます。
話し合いだけでなく、ノートに書いた要約文や要旨・キーワードなどを黒板に書かせることもあります。このときは「手を伸ばして一番上から書くんだよ」と話し、全員に書かせます。
発問に対していろんな意見が出たり、たくさん書かせたりする場合も、よく黒板に書かせています。
「拡げる発問」は、「拡散的発問」とも言います。意見をたくさん出させるための発問です。「気がついたことはありませんか?」「知っていることを教えてください」「どう思いますか?」といった発問(指示)です。
「束ねる発問」は、「収束的発問」とも言います。たくさんある意見を束ねながら、1つに絞っていくための発問です。「どちらの意見に賛成ですか?」「Aですか? Bですか?」と限定していきます。
たくさん意見を出させ(拡げ)、「この中でどれが一番いいかな?」と絞る(束ねる)展開で話し合いが活性化します。このように、目的や場面に応じて意識的に発問を使い分けられるようになると、国語の授業の質は一気に上がります。
本書では、音読、導入、板書、話し合い、まとめ…のように、授業の流れに沿いながら国語の授業で教師が大切にしたいことをまとめました。
普段の授業で何気なく行っている教師の行動にも、実はすべて意味があります。若い先生方にはそれらの意味を知っていただき、ベテランの先生方にも再確認していただけたらと思っています。
また、これは国語の授業についての本ですが、授業を通した学級づくりの要素もたくさん盛り込まれています。時数の一番多い国語の授業がうまくいけば、学級づくりも必ずうまくいきます。本書が国語の授業づくりと先生の学級の子どもたちの関係づくりに少しでも役立てば幸いです。