今回は冨山哲也先生に、新刊『主体的・協働的に学ぶ力を育てる!中学校国語科アクティブ・ラーニングGUIDE BOOK』について伺いました。
―教育界で大きくクローズアップされているアクティブ・ラーニング(以下AL)ですが、本書ではどのように捉えていますか?
生徒の主体的・協働的な学習をALと捉えています。そして、ALは、例えば話合いや発表の場面のような授業のある局面のことを指すのではなく、単元全体を通して様々な工夫をすることで成立するものであると考えています。ですから本書は、「これがALである」という、特定の指導法や型の提案ではありません。
―本書ではALによる授業改善のポイントが5つの視点として紹介されています。これは授業のどのような場面で活用できるものなのでしょうか。
5つの視点は、基本的に単元の流れに沿って時系列で並べています。ですから、導入─展開─終末という授業の構想において、各段階で活用していただけると思います。5つの視点は密接に結びついています。例えば、学習の課題が魅力的でないと、考えの発表・交流が活発になりません。関連を図ることが大切です。
―2章では5つに厳選した「ALの指導技術」が紹介されています。この項目はどのように活用してほしいですか?
思春期を迎えた中学生にALをさせるのは、困難が伴います。また、表面的に活発な学習になっていても、確かな学力がつかないのならば、それはALとは言えません。中学生のALを促し、学力の定着・向上を図るには、指導の技術が必要です。全国の先生方の実践に学びながら、それを整理しました。
―5つの視点に基づいたALの授業づくりの学年別の事例の中には評価問題についても紹介されています。これにはどのような意図があるのでしょうか?
前述の回答と重なりますが、確かな学力をつけるため、ALの成果をしっかり評価することが大切です。特に、思考力・判断力・表現力を評価するには、採点基準を明確にした記述式問題を取り入れたり、パフォーマンス評価と言われる手法と取り入れたりするなどの工夫が必要です。各事例の出題の仕方が作問の参考になると思います。
―全国の中学校で国語を教える先生方に一言メッセージをお願いします。
課題解決的な言語活動の充実により、中学校の国語科の授業は大きく変わってきています。生徒が主体的に取り組み、自分の考えを表現する授業は、まさにALです。言語活動とALをつなげて、中学生の力を更に伸ばしていきましょう。
(構成:木山)