本書の「学習展開」を読んで頂けると分かると思いますが(笑)、「よい学
習課題」を設定すると、子どもたちの思考が自然に動き出すのですね。「よい学
習課題」というのは、子どもたちの内面に「葛藤」や「矛盾の感覚」をひき起
こさせるのですね。「ディープ・アクティブラーニング」提唱者の松下佳代氏の
言う「認知的コンフリクト」がこれに当たります。
改正学校教育法にも明記された「思考力・判断力・表現力等」の育成は、まさに、現代的な教育課題ですよね。これらの力を「共に」育てようとすれば、「判断」でしかけると、子どもたちは「根拠」をもとに「どちらかな」「どの程度かな」と考え始めます。そして、考えたことを自分なりに「理由づけ」して、発表したりし始めます。学習活動が活発になるだけではなく、間違いなく、学力も向上すると思います。
1章・文学教材編の長崎論文や2章・説明文教材編の正木論文だけでなく、序章の三津村論文の「ハンバーガーモデル」や中洌論文の「演出的読解方法」も是非読んでくださいね(笑)。全ての論文は、実践に基づいたものです。ALを機能させるには、「良質な学習課題」が欠かせません。そのために、文学教材にも説明文教材にも「学習課題のバリエーション」を掲載しております。悩んだ時などに参考にして頂けると、きっと役に立つと思います。
まず、教師の「素直な読み」を大切にしてほしい、ということです。例えば、「お手紙」で、かたつむり君が登場すると、子どもたちからは自然と笑みがこぼれ、小さな笑いが起こるでしょう。子どもたちは分かっているのですよね。だけど先生は、「この時のかえる君の気持ちは…?」なんてやっちゃうんですよね(笑)。それを、「かえる君は、かたつむり君にお手紙を頼んでよかったのかな…?」とやると、俄然、子どもたちは活気づくのですね。こういった「ボトムアップ型」(教材の特性を生かす)教材研究を心がけてほしいと思います。
今回のALを成功させるかどうかは、間違いなく「良質な学習課題」と「可視化」にかかっていると思います。特に「判断の可視化」は、「子供自身が自分の学びや変容を見取り自分の学びを自覚すること」(中教審答申・H28/12/21)につながります。可視化の方法としては、本書の実践では、ネームマグネット、紅白帽、ゼッケン、色紙、ガムテープ、付箋などが使われています。グループ学習後のミニホワイトボードなどの活用も有効だと思います。