著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
教師も子どもも幸せになる!極め付きの指導技術
大阪府箕面市立萱野小学校垣内 幸太
2017/8/25 掲載
 今回は垣内幸太先生に、新刊『3年目教師 勝負の学級づくり』『3年目教師 勝負の授業づくり』について伺いました。

垣内 幸太かきうち こうた

1974年、兵庫県生まれ。大阪教育大学教育学部卒業。
2009年、関西体育授業研究会設立。
「体育科の地位向上」を合言葉に発足。月1回程度の定例会、毎年7月に団体演技講習会、11月に研究大会を開催。
2015年、授業力&学級づくり研究会設立。
「子ども、保護者、教師。みんな幸せ!」を合言葉に発足。月1回程度の定例会、年4回程度の公開学習会を開催。

―本書の書名に「3年目教師」とありますが、3年目までと3年目からで決定的に異なるのは何でしょうか。

 3年目。毎日のことで手一杯だった1、2年目から少し余裕もでてきます。周りのこと、自分のことが見えてきます。ここでステップアップすることができるか、できないか。大きな岐路となります。しかし、人によってそれは2年目かもしれません、5年目かもしれません。一歩踏み出しステップアップしてみるチャンスを「3年目教師」と表現しています。
 ステップアップするポイントとして本書では次の5点をあげています。

  1. ひろげる・・・内容や対象をよりひろげていく
  2. ふかめる・・・内容をよりふかめていく
  3. たかめる・・・課題の難易度をあげる 
  4. まかせる・・・より子どもたち自身の自主性を重んじる
  5. つなげる・・・子ども、親、地域、同僚などとつながる

―本シリーズは、『学級づくり』と『授業づくり』の2巻同時刊行ですね。『学級づくり』編で取り上げられている「学級経営力」と「校務力」をステップアップするポイントを、少しだけ教えてください。

 よい授業が学級を育て、よい学級が授業をよりよくします。よい学級をつくりあげる「学級経営力」は教師に欠かせない力です。しかし、それは目の前の1時間、1日、1週間をうまく過ごすための方策でとどまってはいけません。この学級の子どもたちが、この先異なる集団に所属してもいきる力までをも見通すことが大切です。
 同時に、子どもに向き合う時間と心の余裕を生み出すために「校務力」も身につけることも必要です。私たちには子どもたちが帰った後にも、すべきことがたくさんあります。それらを確実に実行していく力も欠かせない力(校務力)です。考え方を少し変えるだけで、きっと余裕が生まれます。

―それでは、『授業づくり』で取り上げられている「授業力」と「自分力」をステップアップするポイントも、少しだけ教えてください。

 「学級経営力」同様、この「授業力」、1時間をうまく流すための方策であってはいけません。学級の「すべて」の子どもたちを笑顔にするためでなくてはなりません。さらには1年後、2年後、その先数年後を見据え、子どもたちが自己実現を果たしていくうえで、必要な力を培っていくことまでをも志向しなければなりません。そのためには教師自身が自分を磨き、高めていくことは不可欠です。
 「授業力」はもちろん、人としての魅力でもある「自分力」もステップアップしなければなりません。それが教師としてステップアップすることにつながります。

―今回ご執筆くださった授業力&学級づくり研究会では、いつもどのような研究をされているのでしょうか。次回の開催日とあわせて教えてください。

 授業力&学級づくり研究会は、「子ども、保護者、教師。みんな幸せ!」を合言葉に発足した会です。教科・領域、主義主張にとらわれず、授業力向上とみんなが幸せになれる学級づくりについて研究を進めています。月1回程度の定例会、年4回程度の公開学習会を開催しています。
 次回の公開学習会は10月7日、テーマは「子どもをつなぐ授業!」です。
 興味のある方は以下のホームページからアクセスしてください。
https://jugakuken.jimdo.com/

―最後に全国の先生方へメッセージをお願いいたします。

 教師の仕事に喜びを感じ、「一生の仕事だ!」と誇りをもって言える教師がどれだけいるでしょうか? 目の前には、子どもたちとともに喜びを感じられることがたくさんあるのに、忙しさや次々と起こる課題や問題がある「いま」に、その喜び、誇りを感じられずにいる先生も多いのではないでしょうか?
 人を育てる、人の人生にかかわる教師の仕事は、苦労や困難を凌駕するほどのやりがいと喜びに満ち溢れているはずです。「いま」を生きる私たちは、強い信念と経験に裏打ちされた知識と技術、そして仲間を持たなくては、「いま」に太刀打ちすることはできません。教師の職に幸せを感じることなど到底できません。
 本書が、お読みいただいた先生たちの「いま」を助け、「教師の幸せ」に少しでも寄与できることを心より願っています。

(構成:木村)
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