著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
授業は決して手を抜かない。でも、教師の負担は軽くできる
立命館小学校教諭正頭 英和
2018/1/22 掲載

正頭 英和しょうとう ひでかず

立命館小学校教諭。1983年、大阪府生まれ。関西外国語大学外国語学部卒業。関西大学大学院修了(外国語教育学修士)。京都市公立中学校、立命館中学校高等学校を経て現職。教師歴11年目を迎える。小学校から高校までのすべての校種で授業と担任の経験をもち、その経験を活かした学級づくりや授業方法のワークショップなども行っている。主な著作に、『中学校英語サポートBOOKS 5つの分類×8の原則で英語力がぐーんと伸びる! 音読指導アイデアBOOK』『中学校英語サポートBOOKS 6つのアイデア×8の原則で英語力がぐーんと伸びる! 英語テストづくり&指導アイデアBOOK』(明治図書)、『英語授業の心・技・愛〜小・中・高・大で変わらないこと〜』(研究社)など多数。

―「音読」「テストづくり」といったテーマでこれまでご執筆をいただいてきましたが、今回は“裏ワザ”です。英語授業の“裏ワザ”ってなんでしょうか?

 教師は「楽をする」という言葉に敏感に反応してしまいます。おそらく「手を抜く」という言葉と同じ意味に感じてしまうからだと思います。しかし、「楽をする」と「手を抜く」は必ずしも同じ意味ではありません。手を抜かずに楽をする(仕事の負担を軽くする)方法はきっとある。そんなことを中心に本書を書きました。
 裏ワザとは、「すごいテクニック」ではなく、「知っているか、知らないか」の違いでしかありません。

―これまでのご著書同様、本書も、すべて正頭先生が実際にやってみて効果があったものだけを厳選いただいているとのこと。まず最初に取り入れたい裏ワザを教えてください!

 どこのページからお読みいただいても大丈夫な構成になっていますので、ニーズに合わせてお読みいただけると思います。ですが、「どこから授業を変えていけばいいのかわからない…」とお悩みの方は、まずはぜひ「Chapter1 規律ある環境が学力を伸ばす!授業に集中させる裏ワザ16」からお読みいただければと思います。
 年間100回以上ある授業のすべてを魅力的にすることは、現実的には難しいと思います。しかし、ちょっとした工夫で「もう授業終わったの!?」と言わせるぐらい授業に集中させることは可能です。つまらない単元であったとしても、子どもたちを集中させることは可能です。ちょっとしたアイデアなのです。例えば、「話し方」。あることを意識して話をすると、生徒は圧倒的に集中して聞くようになったりします。そういったアイデアを16ほど紹介させていただいています。

―最終章では、授業そのものではなく、多忙解消のための裏ワザをご紹介くださっています。「働き方改革」への注目が集まっていますが、先生がやっているMy働き方改革があれば教えてください。

 「働き方を変えたいけど、どこから始めたらいいのかなぁ…」とお悩みの方は、まずはぜひ「Chapter3 できる先生はココが違う!多忙解消の裏ワザ7」をお読みください。
 授業のお悩みももちろんそうですが、「授業以外の部分」で、私たちの時間は多く割かれています。意外と多いのが、提出物のチェックであったり、会議資料を探したりしている時間です。そういったことは、ちょっとしたアイデアで解決します。それを知っているか、知らないかだけの違いだと思います。今すぐに取り組めるアイデアばかりですので、ぜひお読みいただければと思います。
 こういった工夫の積み重ねで時間にゆとりができれば、「もっと授業をよくしたい!」というモチベーションも出てくるものです。個人差もありますが、モチベーション(授業をもっとよくしたい!という思い)の有無は、「時間の使い方」と密接な関係があると思います。

―小学校英語がスタートしますが、本書は小学校でも使えるワザも盛り込んでいただきました。とりわけ、小学校の授業でおすすめな裏ワザはありますか?

 小学校英語では、リスニングやスピーキングが活動の中心になってくると思います。そして、多くの小学校の先生方が苦手とされているのも、この技能です。本書でご紹介させていただいている「画像活用術」「準備簡単!教科書Picture Describing」などは、すぐにご活用いただけるのではないかと思っています。

―新年度に向けて、裏ワザを意識した授業づくりをしていただきたいですね! 読者の先生に向けてメッセージをお願いいたします。

 私たちも「人間」です。できることと、できないことがあります。しかし、『子どもの力を伸ばしたい!』と思っている「教師」でもあります。教師とは、『子どものために、何でもする!』という思いを心のどこかに持っているものです。この二つの考え方が心の中で対立して、頭を悩ませている。私は、多くの先生方がこのお悩みをお持ちだと感じています。そのどちらの思いも大切にしながら、現状を打開していく方法はないか、と考え続けて生まれたのが、本書です。タイトルにあるように、教師の負担を軽くしながら、力を最大限伸ばす活動をご紹介させていただいております。ぜひお読みいただき、参考にしていただければ幸いです。

(構成:林)
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