- はじめに
- Chapter1 規律ある環境が学力を伸ばす!授業に集中させる裏ワザ16
- 4月はとにかく「規律」を重視
- こまめに声を出させる
- 話の聴き方3原則
- ウソも方便
- 指示に数字
- わかりやすい指示の極意
- 言葉をキレイに
- 授業にスパイスを与える「いきなり小テスト」
- 生徒が集中する授業設計
- 書き写しやすい板書づくり
- 座席アレンジメント
- プリント「不足」術
- 生徒の力を伸ばすテスト返却術
- 問題集を使って授業づくり
- 指示・説明は1回
- 生徒の意見は,生徒で解決
- Chapter2 技能別でよくわかる!授業を成功に導く指導の裏ワザ37
- コツの伝授で意欲UP!単語・文法指導の裏ワザ
- 単語の勉強方法を指導
- 3つの技能のチェック表
- 蛍光ペン&赤ペンで単語指導
- 品詞別単語プリント
- 必要以上に定着を求めない
- キーセンテンスはリスト化して帯活動
- 「教えたい病」を増殖させる
- 「わかった」を実感させる!リスニングの裏ワザ
- 積極的日本語活用論―All Englishの活用法―
- 聞き分けトレーニング
- 盛り上がって準備が楽なLSD
- 画像活用術
- リスニングパズル
- リスニング4段階勉強法
- 聞き取れない英文を聞き取れるようにするワザ
- 本物の読解力を育てる!リーディングの裏ワザ
- 想像力を育てる挿絵の活用術
- 退屈なQAに一工夫
- 教科書を何度も読みたくなる発問
- 発問には数字を
- ややこしい説明はリーディング教材に
- 積極的カタカナ活用論
- 直読直解の思考回路育成法
- 和訳先「渡さない」術
- 苦手意識を持たせない!スピーキングの裏ワザ
- 生徒こそが使うべきClassroom English
- 段階的スピーキング
- スピーキングテストの待ち時間はFlip&Write
- 発音指導は5つだけ
- カタカナdeリンキング
- スピーキング力を飛躍的に伸ばす「模範解答」
- 準備簡単!教科書Picture Describing
- 苦労してつくらせた英作文は使い倒せ!
- みるみる書けるようになる!ライティングの裏ワザ
- ライティング指導には戦略が必要だ!
- 準備が簡単!教科書を使った英作文
- 指導時間を削減できる「不自由英作文」
- ライティング力を高める「和文和訳」
- 間違い探し学習法
- 意味理解で終わらせない
- つまらないキーセンテンスを輝かせる
- Chapter3 できる先生はココが違う!多忙解消の裏ワザ7
- 仕事がはかどる!引き出し活用術
- 書類管理はタブレットで
- ネット断食で時間確保
- 手間を削減する!ファイル回収術
- ファイル活用を促す!プリント作成術
- 導入へのこだわりをなくせ
- 振り返りは授業力を伸ばす唯一の方法
- おわりに
はじめに
教師は忙しい!
教師は忙しいです。世間一般の仕事イメージは「授業者」であると思いますが,授業は私たち教師の仕事のほんの一部でしかありません。『毎日が忙しい!』と感じている教師は,ほとんどの場合が授業以外の理由で忙しいのです。もちろん,それこそが「塾」や「予備校」との決定的な違いでもあり,「やりがい」につながる部分でもあります。しかし,とにかくやることが多いのが,私たち教師の仕事です。時間がいくらあっても足りない……と感じているのは,きっと私だけではないはずです。
「生徒のために」
この世の中には,“暴力的な正義”があるように思います。そしてそれは,教師の世界にもたくさんあると感じています。その代表的なものが「生徒のために」という言葉です。教員会議でも,この言葉を出されると多くの人は反対することをためらうようです。何となく,「生徒のためになることに反対」のようなニュアンスになってしまうからかもしれません。
確かに「生徒のために」という言葉は強くて美しく,私たち教師の道標(みち しるべ)のような言葉です。ですが,「生徒のために,夜12時まで授業準備」「生徒のために,土日も休まず出勤」ということができる人は,ほんの一握りのパワフルな先生方だけです。普通の教師は,そんな長時間労働に耐えることはできません。また耐えるべきだとも思いません。「生徒のために」という言葉は,素敵な言葉であると同時に,教師自身を苦しめる「諸刃の剣」でもあるのです。
本書での「裏ワザ」とは?
私たちの仕事は忙しいです。だからこそ,私たちの仕事には「工夫」が必要です。そして,授業も同じく工夫が必要です。では,どのような工夫が必要なのでしょうか? 私が考える「工夫」とは,
生徒の力を最大限に伸ばしつつ,かつ教師の負担を少なくするもの
というものです。私たちの仕事を,そういった方向性にシフトしていくことが大事だと考えています。生徒の力を伸ばすことは絶対に大事です。ですが,同じ「10」の力を伸ばすのなら,教師の負担が「10」のものと,「5」のものとなら,それは「5」のものの方が優秀だと言えるはずです。残った「5」の力は,学級経営や行事指導などに使えばいいのです。もちろん,授業に使うことだってできますし,「私生活」に使うことだってものすごく重要なことだと思います。私はこのような「生徒の力を最大限に伸ばしつつ,かつ教師の負担が少なくなるようなワザ」を「裏ワザ」と名付けました。同時に,これが本書のコンセプトにもなりました。
授業には決して手を抜かない。だけど,より負担を軽くするアイデアは必ずある!
そんなことを考えながら,今までいろんな実践をしてきました。本書ではそのアイデアをまとめています。また,本書で記されている実践は,すべて私が教室で実践したものです。諸先輩方から教えていただいたものに少し手を加えたものや,私自身のオリジナルのものもありますが,共通して言えるのは私が教室で実践して『使える!』と思ったものばかりだということです。いわゆる研究であるようなデータや引用などはありません。それは私がこの本を教室実践に根付いた本として意識したからです。
また本書でご紹介させていただいているアイデアは,「継続してできる活動」ということも意識しています。この本は単発のゲームやアイデアを紹介したものではありません。
継続して実践することが可能なアイデア
ということを意識しています。私の実践のベースには「力を伸ばす」という思いがあります。そして,力を伸ばす活動には,「継続してやり続けること」が前提条件としてあります。どんな活動でも単発では力がつきません。継続が絶対です。何かの活動を継続してできるようになると,授業準備もルーティン化されますし,生徒にもわかりやすくなります。つまり,継続のしやすさが,教師の負担の軽減にもつながる,と私は考えています。そういった面も意識して本書を執筆しました。
本書をきっかけに,皆さまの生徒がより英語の力を伸ばすことにつながり,かつ皆さまの多忙感を少しでも解消することにつながれば,これほど嬉しいことはありません。
2018年1月 /正頭 英和
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