- 著者インタビュー
- 国語
新任から5年目くらいまでの若手の小学校の先生方、特に国語を専門としていない先生方にお読みいただき、日々の実践に生かしていただきたいと思っています。研究会などで若手の先生に会うと、国語の授業をどうしたらいいのか分からない、苦手だという話をよく聞きます。この本には、クラスで一斉に授業をする場面を想定して、その方法をできるだけ具体的に書きました。国語の授業が上手にできるとともに、児童に学力が確実につきます。
学習指導案やプリント教材は、まず、どんどん、使ってみてください。プリント教材は拡大コピーをして、児童に配布し、本書に書いてある通りに行ってみてください。学習指導案を活用いただく際に気をつけてほしいことは、「セリフを自分で変えたり、付け加えたりしないで、そのまま言うこと」です。セリフ(発問・指示)一つ一つに理論的な背景がありますが、小難しい話より、実践してみてください。そして、授業後の子どもの変化をぜひ教えてください。
「教師5年目」が大きな節目といわれています。5年間の取り組みが、今後の教員生活そのものを決めます。この期間に、教育に関する書籍をできるだけ多く、自分で購入して読み、教材研究を日々行い、長期休業のときには研究会に自腹で行き、自らの指導に磨きをかけてください。優れた先生になるか、ダメ教師になるか、この5年が決め手となります。授業力を鍛える最善の方法は、研究授業を見せ合うことです。
もっとも注目しているのは、論理的思考力の育成と、「情報の扱い方」です。論理的文章(説明文、説明的な文章)を読んだり、書いたりする授業が一層重視されるでしょう。
話が変わりますが、新しい高等学校学習指導要領では「現代の国語」(2単位)と「言語文化」(2単位)の2科目が必修です(これまでの必修は「国語総合」4単位でした)。「現代の国語」の「読むこと」の教材は「……論理的な文章及び実用的な文章とすること」とはっきり記されました。文学の授業は「言語文化」で教えます。文学作品を詳しく解釈していた高校の国語科の授業が変容します。そうすると、高校入試問題も変わり、その結果、小学校・中学校の国語の授業がガラッと変わるでしょう。大いに期待しています。
小学校の若い先生方へ、国語の授業のおもしろさは、発問をつくることです。算数や社会、理科などの教科で、発問をつくる機会はそう多くありません。発問をつくるには、確かな教え方に基づく、国語の教材研究が必要です。自分がつくった発問で、子どもが「わかった!先生、できたよ」と言い、成長が実感できたときほど、うれしいことはありません。ぜひ、本書を読み、国語の授業づくりを楽しんでください。授業が変われば、子どもも変わります。