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社会科で「主体的・対話的で深い学び」を実現させるためには、ポイントが2つあると思います。まず、一つは、子どもが自ら学習問題を発見し解決する問題解決的な学習を展開させることです。もう一つは、地名・人名や用語などの知識の習得、グループ発表や社会科新聞などの表現活動ばかりに目を向けるのではなく、そこに至るまでのプロセス、子どもの姿に目を向けて、自分の授業を改善していくことが大切だと思います。
最初に意識してもらいたいのは、視点1の「なぜ?どのように?どっち?の学習問題」です。例えば、学習問題が「新聞社の工夫や努力について調べよう。」といった漠然とした呼びかけ文だと、活動や発問をいくら工夫しても、子どもは主体的に学ぶことができません。しかし、「なぜ、新聞社は毎日15万字もの情報を発信することができるのだろう。」というような具体的な疑問文にすれば、何を調べ考えればよいのか、迷わず自信をもって学習に取り組めるようになると思うのです。
印象に残っている失敗と言えば、3年「火事からくらしを守る」の授業です。「消防署博士になろう!」という学習問題を提示し、見学にも行き、グループごとに疑問に思ったことを調べさせたのですが、休み時間、子どもの中から「ああ、また消防署の勉強か…」という嘆き声が聞こえてきました。自分としては子ども主体の授業をしていたつもりでしたので、ショックでした。子どもが解決したくなるような学習問題を工夫するようになったのは、それからです。ちなみに、前回この単元は、「なぜ、消防署の人は5分で火を消し始めることができるのだろう。」という学習問題で授業しました。
思わず「なんで?」と声が出てしまうような常識で考えれば意外な事実と出会い、一生懸命調べ考え、「なるほど!」と心から納得できる答えに辿り着いた時の爽快感や満足感、これが社会科の面白さだと思います。しかも、一人じゃなく、仲間と一緒に知恵を寄せ合い、話し合いながら問題を解決していくのは、なおさら面白いはずです。わたしは、いつもそんな社会科授業を目指しています。
「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指し、問題解決的な学習で社会科の授業を展開すると、自分の授業の善し悪しが、子どもの反応を通してダイレクトに伝わってくるようになります。まさに日々挑戦です。うまくいくこともあれば、失敗することもあると思いますが、この挑戦に前向きに取り組むようにすると、社会科の授業が先生方にとっても楽しいものになると思います。本書は、そのお手伝いにと思い執筆したものです。