著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「雑談」はアイドリング、クラスの雰囲気を暖め授業展開をスムーズにする!
東洋大学文学部教育学科栗原 久
2020/2/4 掲載
 今回は栗原久先生に、『授業をもっと面白くする! 中学校公民の雑談ネタ40』について伺いました。

栗原 久くりはら ひさし

 1959年生まれ。東洋大学文学部教授。専門は社会科教育学・金融経済教育論。筑波大学大学院修士課程教育研究科修了。埼玉県公立高等学校教諭、筑波大学附属高等学校教諭、信州大学准教授を経て、現職。

―本書では、公民の魅力により迫るような、授業で使える楽しい雑談ネタをご紹介いただきました。雑談を授業に取り入れることには、どのような効果があるのでしょうか。

 本書の「はじめに」にも書きましたが、英語では雑談をアイドル・トークといいます。アイドルは、アイドリング(暖機運転)のアイドルです。かつては、エンジンを効果的に作動させるためには、適度なアイドリングが必要とされていました。授業における雑談の役割は、まさにこれです。雑談によって、授業に臨むクラスの雰囲気を温め、スムーズに授業展開することが可能になります。雑談によって笑顔が生まれれば、先生と生徒の関係はより親和的なものになるでしょう。

―本書は新学習指導要領にも対応しており、単元別に40事例を掲載していますが、特にイチオシのページがありましたらお教えください。

 本書が2020年、つまり東京オリンピック・パラリンピックの年に出版されるということもあって、「『東京五輪音頭』の歌詞は公募で決まった?!」をイチオシにしたいと思います。1963年に発表されたこの曲の作詞者は、島根県庁職員の宮田隆でした。彼は自らの戦争体験から、国際平和の実現に果たすオリンピックの役割に期待して、この曲の歌詞を書いています。どうぞお聞きになってください。

―全面実施まであと1年に迫りましたが、次の学習指導要領に向けて、この新学期はどのような点を意識して授業に取り組んでいけばいいでしょうか。

 「深い学び」を実現するにはどのような授業が効果的か、この点を意識していただければと思います。「−2×−2はいくつか?」と問えば、誰でも4と答えられます。では、マイナスとマイナスをかけると、なぜ積はプラスになるのでしょう。中学生相手に、説明できますか。そう、答えを出せるだけではだめなのです。なぜその答えが出せたのか、きちんと説明できないようでは「浅い学び」にとどまります。社会科だって同じです。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いいたします。

 「社会科好き」でなくてもよいが、「社会好き」の生徒を育てたい。いつもこう思っています。「社会好き」の生徒を育てるには、「なんで?」「どうして?」「この先どうなるの?」などの疑問が自ずと生じるような社会的事象を生徒に示す必要があります。そんな事象を日常生活の中から見つけ出せるセンス・オブ・ワンダーこそ、社会科の先生に求められる資質・能力だと思います。本書をご活用ください。

(構成:赤木)
コメントの受付は終了しました。