- 著者インタビュー
本書の「はじめに」にも書きましたが、英語では雑談をアイドル・トークといいます。アイドルは、アイドリング(暖機運転)のアイドルです。かつては、エンジンを効果的に作動させるためには、適度なアイドリングが必要とされていました。授業における雑談の役割は、まさにこれです。雑談によって、授業に臨むクラスの雰囲気を温め、スムーズに授業展開することが可能になります。雑談によって笑顔が生まれれば、先生と生徒の関係はより親和的なものになるでしょう。
本書が2020年、つまり東京オリンピック・パラリンピックの年に出版されるということもあって、「『東京五輪音頭』の歌詞は公募で決まった?!」をイチオシにしたいと思います。1963年に発表されたこの曲の作詞者は、島根県庁職員の宮田隆でした。彼は自らの戦争体験から、国際平和の実現に果たすオリンピックの役割に期待して、この曲の歌詞を書いています。どうぞお聞きになってください。
「深い学び」を実現するにはどのような授業が効果的か、この点を意識していただければと思います。「−2×−2はいくつか?」と問えば、誰でも4と答えられます。では、マイナスとマイナスをかけると、なぜ積はプラスになるのでしょう。中学生相手に、説明できますか。そう、答えを出せるだけではだめなのです。なぜその答えが出せたのか、きちんと説明できないようでは「浅い学び」にとどまります。社会科だって同じです。
「社会科好き」でなくてもよいが、「社会好き」の生徒を育てたい。いつもこう思っています。「社会好き」の生徒を育てるには、「なんで?」「どうして?」「この先どうなるの?」などの疑問が自ずと生じるような社会的事象を生徒に示す必要があります。そんな事象を日常生活の中から見つけ出せるセンス・オブ・ワンダーこそ、社会科の先生に求められる資質・能力だと思います。本書をご活用ください。