著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
タブレット端末で授業をどう変えるのか
京都教育大学附属桃山小学校樋口 万太郎
2021/7/2 掲載
 今回は樋口万太郎先生に、新刊『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の授業づくり2』について伺いました。

樋口 万太郎ひぐち まんたろう

 1983年大阪府生まれ。大阪府公立小学校、大阪教育大学附属池田小学校を経て、2016年より京都教育大学附属桃山小学校教諭。「子どもが楽しむ・教師も楽しむ」「子どもに力がつくならなんでもいい!」をモットーに日々の授業を行っている。『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の授業づくり』(明治図書出版)、『仲よくなれる! 授業がもりあがる! 密にならないクラスあそび120』(学陽書房)など、著書・編著書多数。

―本書は、大好評をいただいております『GIGAスクール構想で変える!1人1台端末時代の授業づくり』の第2弾として、おまとめいただきました。本書の読み方・おすすめポイントを教えて下さい。

 本書では、各章ごとにテーマを変えました。そのため、みなさんが興味のあるところからお読みいただけるといいと考えています。また本書では、宗實直樹先生吉金佳能先生という素敵な実践家の方と書いています。そのため、私とはまた違う視点の考えや実践があり、読み応え十分になっています。

―第1章では、タブレット端末を導入すると授業がどのように変化するかについて、導入する時の(10個の)問題も挙げていただきながら、4つの利点についておまとめいただいています。本書内で詳しくご紹介いただいていますが、教えて下さい。

 本書では、以下のように導入する時の10の問題について書いています。


@シンキングツール映え問題
Aアウトプット限定問題 
B見方・考え方を働かせていない問題
C教師の指示以外認めない問題
D結局このままでいいよね問題
Eすぐに結果を求めようとする問題
F教師の話す量が多い問題
G同じがなくなる問題
H二項対立問題
I個別ではなく孤独問題

 きっと「あるある〜」と思いながらお読みいただける問題もあるのではないかと考えています。この10の問題を解消したとき、きっとタブレット端末を活用した授業を行うことができていると考えています。

―本書の第2章では、端末導入からの3つの段階「わくわく期」「やらかし期」「安定期」において意識したいこと、第3章では、端末導入を円滑に進めるための、対児童、対保護者への手立てについて、おまとめいただいています。導入のメリットやリスクを踏まえて、活用を推進していくためには、どのようなことが大切でしょうか。

 子どもとともに考えていくということが大切です。ついつい、ルールで縛りがちになってしまいます。もちろん最低限のルールは必要です。また、絶対にしてはいけないこともありません。ルールが必要ないと言っているわけではありません。ルールを作ったから大丈夫ということはありません(そもそも子どもたちは全てのルールを覚えているのでしょうか)。ルールがあったとしても、トラブルはあります。そのトラブルを子どもとともに、そして保護者とともに考えていくということが大切です。

―本書の第4章では、タブレット端末を活用した授業モデルを、具体的な授業の流れや授業写真・資料などを入れながら、ご紹介いただいています。タブレット端末を授業の中でよりよく使っていくには、どのようなポイントがあるでしょうか。

 私自身、タブレット端末を数年前に導入したとき、「タブレット端末をどう使用しようか」ということを考えていました。しかし、なかなか授業ではしっくり来ませんでした。これまでの取り組みをタブレット端末に置き換える、+αの活動を取り入れるということを考え続けたのですが、やはり大切なことは「タブレット端末を使用して授業をどのように変えたいのか」と教師が考えることです。私は、「学習者中心」「自律」「子どもが選択して、決定する」ということをキーワードに授業を変えたいと思うようになってから、タブレット端末を授業の中でよりよく使っていくことができるようになりました。

―最後に読者の先生方へ、メッセージをお願い致します。

 1番言いたいことは、「さぁ!授業を変えよう!」ということです。そのために、試行錯誤することもあるでしょう。でも、その試行錯誤すら楽しんでいきませんか。私もいまだ試行錯誤中です。でも、日々授業が変わっていくという感覚でいっぱいです。さぁ!楽しみましょう!

(構成:及川)
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