- 著者インタビュー
- 特別支援教育
子どもに限らず人間にとって手を使うという行動は日常生活の行動をよりスムーズにしてくれますし、より豊かにしてくれるものだと思います。特に子どもの場合には、最初から自由に手指を動かせるわけではないので、手指の発達が進むにつれ徐々にできることが増えていきます。手指を含めた手全体が自由に使えるようになることは、子どもの可能性を拡げることになりますし、自分で「できた」という自信にも繋がっていくかと思います。そのために手指の発達を支援することは大切なことではないかと考えています。
僕が教材作りを始めたきっかけはInstagramでの投稿に始まったことではありません。日々の病院での療育の中で、市販で売っている教材だけでは療育に通うお子さんの状態やニーズに合わないことが多くあります。さらに、療育で使用する教材の多くは価格が高いことが多いため、子どもに合わせて毎回教材を購入することもできない現状がありました。そのため、手作りで教材を作成することが日常的にありました。それに加え、専門機関での療育が環境的な問題や社会的な問題でなかなかできないお子さんがいる現状も踏まえ、家でも安く、簡単に、楽しく療育ができる方法はないかと考え、手作り教材を作り発信していくことにしました。
手作り教材で最も大切にしていることは「わくわくするかどうか」です。もちろん、教材を使うことで何かしらその子のニーズにあった動きができること、ねらい通りに動かしてくれることも大切なことではあると思います。しかしながら、「面白そう、楽しそう、やってみたい」と「わくわくする気持ち」がないとただ教材を使って療育をしているだけで、子どもたちが主体的に動いてくれることは少ないのではと考えています。大人も同様にわくわくしないものに興味をもって取り組むことは難しいですよね。子どもなら尚更そうじゃないかと思います。だから、まず「わくわくするかどうか」を一番大切にしています。
先にお答えしましたが、まず子どもが「わくわくするかどうか」が一番大切なことであると考えているので、絵が苦手かどうかや不器用だからうまく作れないというのはあまり重要ではありません。もちろん怪我が無いようにしなくてはいけませんが、うまく作ろうとせず、子どもの「好き」に合わせて「わくわくしそうなもの」を作ろうと思えると良いのではないかと思います。Instagramや今回の書籍で紹介している教材については、作業工程や材料が少ないものが多いのでそこも参考にしていただけると良いかと思います。
本書を手に取ってくださり、誠にありがとうございます。本書を手に取ってくださった方々は、きっと、もっと子どもたちに対してできることはないかと日々悩みながら、試行錯誤して育児や支援をしている方々ではないかと思います。そんな方々の手助けに少しでもなれたらと思いますし、関わるお子さんも教材を渡す保護者や支援者の方々も、どちらもわくわくしながら教材に触り、楽しみながら学校・家庭・施設などでの療育に取り組んでもらえたらと思います。