とある有名予備校講師が数年前に入試問題を解説しながら言っていた。「この大学は、英文や仏文はあるけど、日文学科がないから、国語の問題の作り方がヘタ。専門の教授がいないから、良い問題が作れない。悪問が多いから気をつけること。」
この講師の言っていたことの正否はともかく、最近の大学入試問題事情は、外部の企業も巻き込んで変わってきているようだ。
6日の読売新聞の記事によると、全国の国公私立の大学の約1割が、今年度の大学入試問題を外注して作成していたことが、文部科学省の調査でわかったという。
各大学は、教員不足などを理由に入試問題を外注しているが、それに対して文科省は入試問題作成の外注化は好ましくなく、基本的に作成は大学自らが行うことを求める通知を各大学に出したとのこと。
入試問題の外注先として考えられる大手予備校の最大の目的は、生徒を合格させること。そんな予備校がはたして完全に問題漏洩をしないのか…とつい疑ってしまう。
大学入試ではないが、最近では、新司法試験の出題と採点を担当する慶応大法科大学院の教授が、試験前に試験問題と類似の論点を学生に教えていたという問題あった。また数年前には、自動車整備士技能検定筆記試験の問題の一部が、事前にトヨタ自動車所属の検定専門委員から、トヨタとトヨタ関連会社に漏洩していたという問題も起きている。
大学教授はもちろん多忙。負担軽減などさまざまな問題解決に入試問題の外注化は一役買うかもしれない。また、教授の専門分野のマニアックな入試問題を解くよりは、大手予備校が作成した良問?の方が受験生にとっても、ありがたいかもしれない。しかし、中立性や公平性のためには、やはり大学が独自で問題を作成した方がいいのでは…という気もする。
数年後に、予備校講師が「ここだけの話、この大学は、私が問題を作ったから全員合格だ!」と言っていないことを願いたい。
どの大学も画一化した人材ばかりにならないでしょうか。