17日に、第137回芥川賞と直木賞の受賞者が発表された。
芥川賞は諏訪哲史氏の『アサッテの人』、直木賞は松井今朝子氏の『吉原手引草』にそれぞれ決定した。
毎年同時期に発表されるこの2つの賞は、あまりにも有名なのだが、いったいいつからあり、どうやって決まり、どんな違いがあるのか…など、改めて聞かれると意外と答えられないのでは?
ちょっと調べてみました。
2つの賞が、それぞれ作家芥川龍之介と直木三十五の名前を記念して、菊池寛によって創設されたことはご存知だと思うが、まずは各人について。
芥川は、『蜘蛛の糸』や『羅生門』など有名な作品も多く、服毒自殺をするまでの彼の人物に関しても割合知られているので、ここでは、賞以外には何故かあまり知られていない直木三十五に関して、少々ご紹介しよう。
直木三十五は、まず名前からして、「どう読むの?」という感じだが、そのまま「なおきさんじゅうご」である。本名は植村宗一で、「直木」は本名の「植」の字を分解したもの。「三十五」の方は、彼が31歳になった時に「直木三十一」と自分で名づけ、その後、1年経つごとに「三十二」「三十三」と変え、(「三十四」はとばし)最終的には「三十五」で落ち着いた。意外とおもしろい由来だ。
代用教員、雑誌の編集、映画制作などさまざまな活動を行いながら、大衆小説、時代小説を多く書いた。代表作は『南国太平記』。
閑話休題、次は2つの賞そのものに関して。何れも昭和10年に制定された。授賞は年に2回。上半期と下半期に分かれている。どちらも応募方式ではなく、新聞や雑誌などに発表された作品に対して賞が与えられる。
両者の違いをみてみると、芥川賞は純文学短編作品が対象となり、直木賞は短・長編の大衆文芸作品が対象となる。大衆文芸作品は、なんとなく分かるとして、では「純文学」っていったい何?と思われるかもしれない。
「純文学」は、「(通俗文学と区別して)純粋な芸術性を目的として創作される文芸作品」(岩波の『国語辞典』より)。エンターテイメントよりも芸術性、物語性よりも形式… これでもいまいち分かりづらいかもしれないが。
受賞対象者であるが、芥川賞は、主に無名もしくは新進作家であるのに対し、直木賞は、無名・新進・中堅作家が対象となる。確かに受賞者や候補者の年齢をみてみると、芥川賞の方が若い人が多い。
とまあ、長くなったが、2つの賞をざっとおさらいしてみた。
もうすぐ始まる夏休み、みなさんも、文学作品読破にチャレンジしませんか?
これは知りませんでした。