日本国語教育学会(国語教育の実践について学び合う会)が、第69回国語教育全国大会で、大会参加者を対象に、国語教育についてアンケート調査を実施した。国語力向上の動きが大きくなっている中で、国語教師たちがどのような意識で実践・研究に取り組んでいるのかという趣旨で行われ、約640人の会員が回答。国語教師の意識を刺激し、教育実践の活性化につなげることを目標としている。
設問は「指導事項がうまくいっているか」「指導事項にどの程度力を入れているか」「これからの国語教育に必要な課題」で、それぞれの度合いを4段階で回答するようになっている。このほかに、自由記述などがある。その一部をご紹介する。
設問「指導事項にどの程度力を入れているか」で、「特に力を入れて指導する」と考えられている上位4つは
話し合い | 55.4% |
---|---|
聞くこと | 48.0% |
話すこと | 40.2% |
書くこと | 40.1% |
で、「特に力を入れて指導する」「これまでより少し力を入れて指導する」をあわせると、それぞれ90%前後の結果。
一方で、上記の指導がうまくいっている割合は
話し合うこと | 1.6% |
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聞くこと | 3.7% |
話すこと | 2.1% |
書くこと | 6.5% |
と低い。話し合い、聞くこと、話すこと、書くことの指導が特に必要であると考えているものの、現実はうまくいっていない状況だと読み取ることができる。
設問「これからの国語教育に必要な課題」で、「特に大事だ」と思う上位に、
思考力(論理・批判的)の育成 | 63.8% |
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コミュニケーション能力の育成 | 56.4% |
言語表現力の育成 | 56.1% |
話す・聞く、書く、読むの関連指導 | 50.6% |
が含まれている。「特に大事だ」「少し大事にすべきだ」をあわせると、ほとんど90%を超えている。報告書にあるように、「思考力の育成」は読むこととの関連、「コミュニケーション能力の育成」は話し合うこと、聞くこと、書くこととの関連、「言語表現能力の育成」は話すこと、書くこととの関連が考えられる。それぞれが密接に関わっているようだ。
先日、中央教育審議会が、「言語力」を全教科で育成していく方針を固めた。上述のように「言語表現能力の育成」は、話すこと、書くこととの関連があると考えられるのだが、このアンケートからは、現場の教師が思考錯誤している姿がうかがえる。
※報告書では校種別(小学校・中学校・高等学校)、年齢別による傾向の集計や、それぞれの設問の指導事項に対しての課題も示している。
肝心なのは、好きなことではなく、求められていることを表現する能力でしょう。将来、社会にでて働いていくことを考えると。