勉強が嫌いな子どもは多くても、音楽が嫌いな子どもは少ないのでは。教科書の英文は忘れても、好きな歌の英語の歌詞はすぐ覚えてしまう、ということも多そうです。
「流行の歌には英語の歌詞が多く使われている」というイメージがありますが、日本経済新聞の「ユーミンなどの歌詞、日本語に回帰・国語研調査」という記事によれば、最近はそうでもないようです。
今週のヒットチャートを見ると、1位こそ英語のタイトルですが、2位の小田和正の「こころ」など、英語を用いていない歌が以前よりは多くなってきた印象があります。
日本のポップスと英語の歌詞
『J−POP進化論』(佐藤良明、平凡社、1999年)という本によれば、日本のポップスで日本語・英語交じりの歌詞を定着させたのは「サザンオールスターズ」の桑田佳祐だっただろうということ。彼をはじめ、今に至るまで多くの歌手が英語交じりの歌詞を歌ってきました。
かつて一世を風靡したバンド「globe」や「trf」の小室哲哉は、特に英語の歌詞を多用していたことで有名です。彼の全盛期が「英語入り歌詞」の全盛期だったように思えます。
「英語」として正しいの?
英語圏の人間から見れば、これらの日本の歌の英語は、アメリカのブラックジョークアニメ「サウスパーク」でも茶化されるように頓珍漢で異様な言葉だということも少なくないようです。(「Eng“r”ish」なんて揶揄されることもあるようですね。)
小室哲哉には「歌詞は重要ではない」「意味がわからない英語のほうがカラオケで頭をからっぽにして唱和できるので良い」といった趣旨の発言もあったそうですが、聴く側も、作る側も、英語の意味にはあまり頓着がなかったと言えそうです。
どうなる? 日本の歌謡曲
確かに、母語である日本語は具体的なイメージがわきやすい反面、ともすれば直接的で野暮ったい印象を与えることもあります。(例えば「愛」と「Love」など。)英語だとそれが曖昧になって、洗練されたような印象になるようです。その点が若者の感性に合致し、英語は日本語よりも「かっこいい」…もとい「Cool」とされているのだと言うこともできそうです。
いずれにせよ、英語が多く入った曲がヒットを飛ばしてきた背景には「英語ってなんだかカッコイイ」という若者たちの意識があったからだと言ってよいでしょう。
その中で、(わずか2人の歌手のみの調査結果ではありますが)英語の歌詞が減ってきたいう調査結果が出たということは、もっと日本語を大事にしようという意識の変化なのか…? はたまた英語教育の浸透によって中途半端な英語への忌避が増してきたのか…?
この調査結果だけで結論を出すのは早計ですが、「流行歌の歌詞の中の英語」ということを考えるきっかけになるかもしれませんね。
- 国立国語研究所
http://www.kokken.go.jp/ - Engrish(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/Engrish - 和製英語(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%8C%E8%A3%BD%E8%8B%B1%E8%AA%9E - 国語に関する世論調査 平成14年 ※カタカナ語についての調査を含む(文化庁)
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/yoronchousa/h14/kekka.html
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森山直太郎は言葉(日本語)の選び方がいいなと。
インディーズなどでは、日本人なのに、歌詞が全部英語の歌手もいますよね。
あれには、すごーく違和感をおぼえます。
どんな?