日本では多くの学校で、9月は夏休みが明けて2学期となりますが、中国の学校では9月からが新学期となります。今月新学期の北京では、高校生用教科書が改訂され、国語副読本から魯迅の「阿Q正伝」が消えたそうです。かわりに香港の作家である金庸(きんよう)氏の武侠小説「雪山飛孤(せつざんひこ)」が採用されました。毎日新聞では金子秀敏氏が「中国版『ゆとり教育』だ」としています。
三省堂「大辞林」(第二版)によると、「武侠」とは「尚武と侠気。」であり、「尚武」とは「武道・軍事などを大切なものと考えること。」、「侠気」とは「男らしい性質・気持ち。自分の損得を顧みず弱い者のために力を貸す気性。義侠心。」とあります。武侠小説とは中国の大衆小説の一種で、日本でいう時代小説や、任侠小説にあたります。
金庸は現代の人気作家。一方、魯迅は夏目漱石とほぼ同世代の文豪。中国近代文学の父と呼ばれ、中国社会を批判する小説を多く残しました。
日本でも、国語の教科書から文豪と呼ばれる作家の作品が減ったことがありました。光村図書発行の中学校国語教科書では、平成14年度版には、13年度まで使用の教科書に掲載されていた夏目漱石、森鴎外の作品が消えています。
平成14年度はゆとり教育の重要性が叫ばれ、指導内容が大きく削減された年です。これに対し批判も多く、次回改訂の平成18年度からの教科書には、文豪たちの文章が復活しました。
ちなみに、魯迅の「故郷」は漱石が消えてもずっと掲載され続けています。
中国では今回の改訂に、賛否両論あったそうです。中国が日本と同じように文豪を復活させる道をとるか、ゆとり教育が成功するか、今後の行方が気になるところです。
- 文豪は剣豪に及ばず(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/kaneko/news/20070906dde012070013000c.html - 教科書タイムトラベル(光村チャンネル)
http://www.mitsumura-tosho.co.jp/bookland/travel/travel_c/
中国の英才教育はかなり極端だとか。
よく報道されてますよね。
もっと中国教育の背景を説明してくれないと、またマスコミが誇張しているのかという印象しか持てません。
作家の変わり方が、日本のゆとりのときに似ているというだけですね。
でも魯迅が消えるのはちょっと残念…。
たとえば漱石が消えて、浅田二郎とかが載る感じでしょうか。そうだとしたら十分に「ゆとり」な気がします。
明治・大正のいわゆる名作なんて平成生まれの今の子どもからしてみれば立派に古典だし、
無条件で古典をありがたがるような人って子どもとわかりあえないと思う。
授業時間数が増えるから、多少は可能になるでしょうか。
司馬遼太郎でそこまで期待できるでしょうか…。
中国の国策(大戦後の中国共産党の正当性⇒戦前のもの、とりわけ旧日本帝国かぶれの者を隠す)を考慮すると、ゆとりではなく、現代中国の優位さをアピール、しかも統治の歴史の浅い香港を取り込んだ中華思想の一端に過ぎない事例と、私は思います。