12日の毎日新聞の記事によると、アフリカの野生チンパンジーのオスが、大きなパパイヤの実をメスへ与えるという行動を取っているのがわかったとのこと。オスはその前後に交尾したり毛づくろいをしてもらったりすることが多く、このパパイヤはちょっぴり下心のあるプレゼントのようです。
愛する人に贈り物をする―これは私たち人間にとってもステキな習慣の一つですが、人間以外の霊長類でこうした行動が確認されたのは今回のチンパンジーが初めての例だとか! 意中のカノジョに贈り物をして気を引こうとするなんて、人間もチンパンジーも考えることは一緒なんですねぇ。花束の代わりにパパイヤ、宝石の代わりにオレンジ、という具合でしょうか…。
ちなみにチンパンジーが食べ物を分け合う行為は一般的に見られますが、狩猟した肉をオスの集団で食べるということがほとんど。フルーツなどの植物性の食物となると、親子間だけのものと認識されていたようです。
この研究成果は、日英米葡の4カ国に渡る国際チームが「禁断の果実を分け合うチンパンジー」として米科学誌に発表しています。
チームの一員である京都大学霊長類研究所の松沢哲郎さんは、30年近くもチンパンジーを研究し続けていることで知られる方です。中学校の国語の教科書(光村図書)には「文化を伝えるチンパンジー」という書き下ろし論文も掲載されています。
大きく異なるように見えるヒトとチンパンジー。しかし、500万年前までは同じ一つの生き物であり、ヒトとチンパンジーは進化の隣人なのだ、と松沢さんはよく仰っています。
今回のニュースはチンパンジーの新しい文化だ、と報道されていましたが、進化という言葉も当てはまるのかもしれません。500万年かけて少しずつ違う道を歩いてきた人間とチンパンジーが、またどこかで近づきつつあるのでしょうか?
ふと、有名な「猿の惑星」という映画を思い出しました。あの世界が現実となる日が、はるか未来に待っているかもしれません。
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その矛先が人間に向いたらまさに猿の惑星ですよね。