きょういくじん会議
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新聞業界活性化? 注目の「ウェブ・ファースト」
kyoikujin
2007/10/4 掲載

 全国紙5紙がウェブ上の記事配信などについて、新たな展開を模索している。2日の各紙の報道によると、朝日・読売・日経の3紙が2008年から共通のポータルサイトを立ち上げるとのこと。全国紙どうしの提携は異例ともいえるだろう。それに先駆け、毎日・産経はそれぞれ今月1日から新たなサイト展開を始めた。

 情報化の急速な進展にどう対応していくかが問われていた業界だけに、各社の生き残りをかけた闘いが本格化してきた。

産経は―

 なかでもとくに注目したいのは産経。「ウェブ・パーフェクト」を掲げ、スクープ記事などを紙媒体の締め切りよりも早くウェブ記事にする「ウェブ・ファースト」を実行していこうというのが最大の特長だ。
 その他にもマイクロソフト社との提携によって、関連記事の検索機能なども強化している。サイト開設直後はアクセス過多による障害も起きるなど、読者の期待感は非常に強いようだ。

 紙媒体にある紙面の制約を脱し、法廷のライブ記事などウェブの特長を最大限に生かそうという産経の試みだが、逆に紙媒体の方の充実が課題となってくるだろう。「紙よりウェブ」化が進みすぎることは新聞業界だけでなく、出版業界などにも大きな波紋を広げることになりそうだ。同社は「ネットと紙の融合」を謳うが、課題はまだ大きいだろう。
 しかし、読者やユーザーの視点から見ると、このような取り組みは歓迎すべきことだ。保守系紙であることを理解したうえでの利用が進むのはよいことかもしれない。

毎日は―

 一方、マイクロソフト社との提携関係を破棄して同日オープンした「毎日jp」は、ニュースだけではない「総合情報サイト」をめざすとしている。ニュースセレクト、エンターテインメント、ライフスタイルの3つのカテゴリに分けて情報へのアクセスを簡便にし、ウェブ独自のコーナーの充実を図っている。

朝日・読売・日経は―

 朝日・読売・日経の提携はどうなるのだろうか。販売網での一部提携もさることながら、ポータルサイトの共同運営は前例のない取り組みといえる。しかし、サイトの方向性は産経の「ウェブ・ファースト」とは正反対のようだ。3紙の社説やトップ記事の読み比べができるなど、提携のメリットを強調するが、その他の記事などは要約記事を主にして、そこから紙媒体へ誘導していく戦略をとるとのこと。この戦略は吉と出るか凶と出るのか、読者はどう判断するだろうか。

 教育現場で新聞などを取り上げるNIEについては、以前、きょういくじん会議「決定? NIE実践校513校」でも取り上げたが、これからの時代に「生きる力」をもった子どもたちを育てようとしている今、新聞業界の新しい動きは注目しておきたいところだ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
5件あります。
    • 1
    • 白夜行
    • 2007/10/4 21:25:23
    確かに新聞記事をインターネットで見れるようになってから「クリッピング」(関連記事、新聞の切り抜きを朝作り、配布する)業者は減りましたね。
    通信社勤務も経験したゆえ、新聞社の苦労は分かりますが、
    広告に比重を置いた企業のPR的な記事が増えると思います。
    一番深刻なのは、地方紙(秋田魁?とか岩手日報?等)が減ることでしょうか。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2007/10/4 22:32:58
    産経といえば、去年横書きの新聞出してたけど、その後どうなったんだろ。
    と、探してみたらまだがんばってるみたいだね。
    • 3
    • 名無しさん
    • 2007/10/5 13:03:04
    新聞社のサイトって動画広告が多くて表示に時間もかかるのですが、
    なんとかならないものでしょうか。
    • 4
    • 白夜行
    • 2007/10/5 14:32:57
    〉3
    ドル箱だから無理でしょう。
    自分で広告出してクライアントになれば変わるかもしれませんが。
    • 5
    • 名無しさん
    • 2007/10/11 9:34:53
    これは、産経が正しいんじゃ。
    ネットを見て、紙媒体に誘導なんて時代に逆行も甚だしい。
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