佐藤可士和(さとうかしわ)。この名前はすでにブランドとして不動のものになったように思います。テレビをつければ彼の手掛けたコマーシャルが流れ、コンビニに立ち寄れば彼がパッケージを考えた商品たちが売られ、来年のお正月には彼のデザインした年賀ハガキがあなたの手元に届くでしょう…。
デザイナー、クリエイター、アートディレクターなどとさまざまな名前で呼ばれ、各方面で引っ張りだこの人気者。そんな彼が現在取り組んでいるもののひとつが、教育分野におけるデザインです。
遊ぶことの大切さを重視した幼稚園づくり
東京のベッドタウン、立川市にあるふじようちえんが生まれ変わったのは今年の春。園舎、園服、ロゴなどのデザインの一新から幼稚園のコンセプト作りまで、全般的に携わったのが可士和氏です。
園舎そのものを巨大な遊具にするというコンセプトのもと、建築家の手塚夫妻に設計を依頼し、完成したのはなんとドーナツ状の建物。デッキ張りの屋上は行き止まりがないため、子どもがぐるぐるとエンドレスに走り回ることができます。そして普通の幼稚園にあるような遊具が一切ないのは、そのほうがかえって園児の遊びの想像力を刺激するのではないかという思いから。木と土に囲まれた開放感のあるこの空間で、自らさまざまな遊びを編み出す子どもたちは、今後どのように成長していくのでしょうか。
大学をブランド化して教育理念をアピール
明治学院大学がブランド価値を高めて存在感のアップを図ろうと、可士和氏を起用したのは2005年のこと。学生の確保が難しくなると予想されている大学全入時代を今後に控え、大学としての個性を打ち出して他校との差別化を図ろうという狙いです。
彼はまず、明治学院大学の教育理念をイメージ化した新しいロゴマークをデザイン。それからスクールカラーを黄色にして、学生証、文房具、ゴミ箱、学内のカフェにまで統一感を持たせます。新ロゴをあしらったノートやペン、バッグなど、オリジナルグッズのデザインも手掛け、これらは学内外で人気を博しているとか。この明学グッズはボランティアファンド支援グッズと呼ばれるもので、売り上げの1割が積み立てられ、災害時の支援活動や環境保全などに運用されるとのこと。同大のホームページによると、昨年度の積み立ては860,373円とのことですから、単純に逆計算すると売上金は約8,603,730円! 可士和ブランドの強さが伺えますね。この数字からも、大学の認知度をアップさせるという目的は成功していると言えるでしょう。
可士和氏はこの他にも、「ビジュアルの力で英語を身近なものにしたい」とNHK教育テレビ「えいごであそぼ」のデザイン全般を手掛けたり、「子供の創造性を伸ばすきっかけになる端末作り」を重要視したNTTドコモの子ども向け携帯電話をプロデュースしたりと、企業広告だけでなく、教育に関わる分野で意欲的に活動しています。
このように、デザインという切り口で教育現場に次々と新しい風を吹き込む可士和氏。次は一体どのような「デザインという視点からの教育のあり方」を私たちに見せてくれるのでしょうか。
- 佐藤可士和と幼稚園をつくる
http://www.chousadan.jp/kentikuka-club/forum/f060/f060.htm - 佐藤可士和デザイン 明治学院大グッズ人気(asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200710120237.html - NHK教育テレビ「えいごであそぼ」総力特集〜日本の英語を救う摩訶不思議な10分間〜(OG EXPRESS)
http://www.ocn.ne.jp/game/og/08-gogaku/express.html - ドコモの取り組みをデザインした─佐藤可士和氏と「キッズケータイ」(ITmedia +D モバイル)
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0511/29/news005.html
英語並べてわかりにくいのがかっこいいのか???