自分が何を勉強したいか、どんな職業に就きたいか…。方向性がはっきり決まっていなくても、入学後に選べる大学がある。10月15日の朝日新聞の記事によると、東京都三鷹市の国際基督教大学(ICU)では、来年度からこれまでの6学科制を廃止し、入学時に所属する学科を決めない「メジャー制」を導入するそうだ。
ICUは、現在唯一の学部である教養学部の中に、人文科学科、社会科学科、理学科、語学科、教育学科、国際関係科学科の6学科がある。現在でも転科や複数の学科にまたがって研究ができる学科間専攻が可能だが、今回の教養学部改編では6学科制を完全に廃止し、2年時の終わりに自分の興味に従って文系理系問わず31のメジャーから好きな専攻が選べるようになる。しかも、二つのメジャーを同時に組み合わせて履修していく「ダブルメジャー」や比重を変えて二つのメジャーを履修できる「メジャーマイナー」という制度もできるので、「国際関係学と歴史学の2つを専攻する」ことや、「美術を中心に、数学も学ぶ」など、複数の学問を組み合わせて研究ができる。日本の大学で、ここまで学科間の垣根を取り払ってしまうのは珍しい。
日本では、大学のほとんどが学部、学科に分かれているために、高校の時点で文系と理系のどちらに進むかの選択を迫られることがある。やりたいことがはっきりしている場合はよいが、単に「英語が苦手だから」「数学が苦手だから」など、教科の得意不得意にとらわれて文系理系を決めてしまう生徒も多い。メジャー制では大学在学中にじっくりと自分の興味や適性に向き合って専攻を決めることができたり、文系理系を問わずに幅広く学べるという点でメリットがあるだろう。
今の日本の文系理系選択のあり方を見直すという意味でもICUの取り組みは革新的といえるが、完全に学科間の壁を取り払ってしまうことで、各学問の魅力を受験者にうまく伝えることができるのか、ダブルメジャーやメジャーマイナーの制度を使う学生へのフォロー体制を整えることができるのかなどの課題も残る。メジャー制に移行したことで、教育的な効果が現れることになるのか、来年以降の結果が気になるところだ。
- 国際基督教大学(ICUホームページ)
http://www.icu.ac.jp/ - 桜美林大が今春、リベラルアーツ学群を新設(東京)(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20070702wm02.htm
文系理系ってそんなに大事な区分けでしょうかね?