きょういくじん会議
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授業数増を考える―フィンランドの教育から
kyoikujin
2007/11/4 掲載

 学力低下が問題となり、「ゆとり」から路線変更する次の学習指導要領。「小中で理数・英語が大幅増―審議のまとめ(中教審)」でもお伝えしたように、小中学校で授業時間数が増加しますが、果たして、授業数を増やすことで学力低下を食い止められるのでしょうか。
 授業時間数が日本より少ないにもかかわらず、PISA(OECDの学力到達度調査)で好成績をおさめたフィンランドの学校教育に注目してみました。

 フィンランドの学校では、子どものやる気、自主性を尊重した教育が行われています。16歳まで順位をつけるためのテストは行わず、授業は教師が導入のみ行い、あとはグループ学習ということもあるようです。子どもたちはそれぞれの興味に基づいて学習し、わからない場合は子ども同士で教え合います。中には、床で勉強したり、飽きて他のことをする子もいるそうです。

 自ら考え、時には友達とコミュニケ―ションをとりながら問題を解決していく。そこで培われる力は、まさしくPISAで測られる力と一致していると言えるのではないでしょうか。フィンランドの子どもたちが高得点をとるのも納得できる気がします。それに対して、日本はどうでしょうか。先日、学力テストの結果が発表され、知識はあってもそれを活用できていない実態が明らかになったばかり。ゆとり教育で体験重視と言われたものの、いまだに知識編重の傾向にあるようです。

 しかし、高学力と言われるフィンランドの教育には意外な面もあるようです。文部省の学校基本調査によると、日本の大学等進学率(現役)は50%以上であるのに対し、フィンランドの現役大学進学者は3割程度。約6割は卒業後、大学入学資格試験を受験しています。大学にストレートで合格することがいいとは言いきれませんが、フィンランドの教育にこのような部分もあることは注目すべきでしょう。

 自ら課題をみつけ、自ら考え、問題解決をする「総合的な学習の時間」を削減し、主要教科の授業数を増やす…日本の教育は今後、どの方向へ向かっていくのでしょうか。かつての「詰め込み教育」に逆戻りすることだけはないような授業内容の改訂が求められます。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
5件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/11/4 8:44:32
    フィンランドで浪人生が多いなんて、驚き!
    • 2
    • 白夜行
    • 2007/11/4 19:35:46
    先日、TVでフィンランドの授業風景を初めて見ました。
    教師が生徒一人ひとりに別々の本を与え、感想文を書かせるものでした。
    そしてフィンランドでは教師が最も尊敬される職業だそうです。
    確かに同国の教師の仕事はキツそうに見えました。
    • 3
    • 名無しさん
    • 2007/11/5 13:56:02
    >1
    自ら学ぶ力がついているので、自宅浪人も可能なのでしょうね。浪人生の予備校行きが当たり前の日本とは大違いです。
    • 4
    • 名無しさん
    • 2007/11/5 17:17:37
    「総合的な学習の時間」と、「PISA」と、「知識を活用する力」は
    混同されるべきではなく別のものであると思います。
    学力調査の結果を見て、
    総合的な学習の時間の時間数減を憂慮するのは
    論理の飛躍ではないでしょうか。
    • 5
    • 名無しさん
    • 2007/11/6 0:42:15
    >3
    日本の予備校というと「自ら学ぶ力」と対極な気がします。予備校は比較的、テクニックを詰め込むような…。
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