漫画『のだめカンタービレ』の人気で音大生が一躍注目を浴びた。これまであまり知られていない音大生の大学生活もかいまみえ、それぞれの目標を持ちながら音楽にうちこむ姿に感動した人も多いだろうが、2日の毎日新聞の記事によると、そんな「のだめ」達の就職活動は厳しいようだ。
『のだめカンタービレ』(主人公野田恵のあだな「のだめ」と音楽用語「cantabile:歌うように」の意)は、ご存知の方も多いかもしれないが、音楽大学を舞台とし、音大生たちがそれぞれの夢の実現にむかって、色々巻き込みながらも真剣に音楽に取り組んでいくという笑いあり恋愛ありのストーリー。ただこの漫画の中でも、夢や将来の目標に向かって順調に進んでいくだけではなく、途中、大学4年生の彼らが、音楽だけでは食べていけない現実に直面する。
「音大を卒業した」というと、イコール演奏家になる、と考えるかもしれないが、演奏活動だけで生計を立てられる人はほんの一握り。実際のところ、音楽とは無関係の一般企業に就職したり、学校の先生をやりながらコンサート活動を続けたり、自宅でピアノの先生になったり、あるいは「30歳までは続ける!」と期限付きで演奏活動に打ち込んだり…。日本では演奏家としての需要が少ないため、仕事を求めて海外へ行く人もいる。
音楽大学卒業生の就職実態をちょっと見てみると、
就職 | 進学 | |
---|---|---|
東京藝術大学 | 約15% | 約35% |
桐朋学園大学 | 約20% | 約45% |
東京音楽大学 | 約47% | 約30% |
という感じで、卒業後も就職先が決まっていない割合がかなり高いのが現状のようだ。就職といっても、一般企業や音楽教室、教職であったりと、プロの演奏家として生計を立てるというのはごくごく一部だ。
そんな中、前述の記事によると、人材派遣会社パソナが音大生の就職支援活動に乗り出している。パソナのホームページによると、単に音楽関係の仕事に就くためのサポートをするだけではなく、短時間勤務の職場を提供したり、企業へ就労できる人材に育てたりと、「音楽と仕事の両立」をサポートしている、というのが特徴だ。
こういう厳しい現実を見ると、音楽家への道をちょっと躊躇してしまうかもしれない。しかし、世界で活躍している若手の日本人演奏家も沢山いる。10月末、ロン・ティボー国際音楽コンクール・ピアノ部門では20歳の田村響さんが優勝。7月、チャイコフスキー国際コンクール・ヴァイオリン部門で同じく20歳の神尾真由子さんが優勝している。そんな姿に憧れて「音楽家になりたい」と思う子ども達もいるだろう。
彼らには夢は持ち続けてほしい。実際、プロの音楽家はそういう子ども達の中から生まれるのだから。
- ピアノで田村響さん優勝 ロン・ティボー音楽コンクール(朝日新聞)
http://www.asahi.com/culture/update/1029/JJT200710290001.html
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地方にかえり、このようなお店をつくり、音楽を普及すればと進めています。