今年は数多くの食品偽装事件が発生し、今も地鶏の偽装問題がニュース等で取り上げられているが、11月1日の山陽新聞の報道によると、香川県丸亀市の精肉業者が、牛肉の産地を偽装して学校給食に納入していた。食品偽装問題は学校現場にも飛び火したことになる。
報道によれば、オーストラリア産の牛肉約1.1トンを国産牛と偽って納入した「ふじや精肉店」店主と、同店に肉を卸していた「村食」の元従業員2名を、香川県警は不正競争防止法違反と詐欺の疑いで逮捕した。
同市では、BSE対策として牛肉を国産のものに限定していた。偽装された牛肉は肉じゃがなどに使われており、18の小中学校で約7700人の子どもが食べたという。
問われる中間業者のモラル
精肉店主は「村食」の偽造した証明書を使用していたそうで、簡単に証明書を偽造できてしまうことにも驚かされるが、さらなる問題はこの事実が明らかになっても行政としては厳しい処分に踏み込めないことにある。
今回の事件は7月には明るみに出ており、行政処分がいったん下されているが、証明書を偽造した「村食」への処分は文書指導に留まっている。実は、牛の個体情報を管理する牛肉トレーサビリティ法(PDF)の対象に輸入牛肉は含まれていないため、「村食」の偽装は法令違反とならなかった。また、食品の適正な品質表示を義務付けるJAS法も、直接消費者が目にする表示のみを規制対象とするので、業者間の取引には甘いという問題がある。今回は最終的に詐欺罪で逮捕されたのだが、それまでは法の抜け穴をうまく利用していたことになる。
「食」を見直すきっかけに
加工業者の不正はミートホープ事件の際にも問題となったことだが、業者間取引が密室行為になりやすく一般消費者には実態が見えづらいことが一因にありそうだ。また、消費者もふだんから中間業者まで意識して食材を選んでいるわけではない。特に食肉の加工過程に関しては報道される機会も少なく、想像が及びづらいのではないだろうか。業者間取引にもなんらかの規制をかけていく動きはあるが、消費者側でも食品を加工している「誰か」を意識していく必要があるのかもしれない。
今月10日から公開されたドキュメンタリー映画「いのちの食べ方」では、この問題に焦点を当て、食肉が生産・加工されていく生の現場に密着し、私たちの食に対する想像力のなさを指摘する。生産・加工の全てにかかわる場所や人が映し出されるので、映画を鑑賞した方はいつもの食材も違った目で見るようになるだろう。
一連の偽装事件は許しがたいものだが、食について考え直す契機となることもあるだろう。ふだん食べているもののルーツだけでなく、それが食卓に並ぶまでのプロセスについて考えてみるのも、有意義な食育になるのではないだろうか。
- ミートホープ、データ改ざんした食品を学校給食用に出荷(きょういくじん会議)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/kaigi/?id=20070139
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- 名無しさん
- 2007/11/16 13:21:15
友人の実家が学校給食へ食料品を納品していますが、話を聞くと、信頼関係で成り立っているような感じなのですが。