大学を卒業しても、4人に1人はフリーターになると言われるこの時代。経済の仕組みを知らず、金銭感覚が磨かれていないために安易にニートやフリーターになる若者がいるという説もある。NPO法人「育て上げ」ネットによると、先月、同法人が開発した「Money Connection」というプログラムが茨城県立守谷高校で行われたそうだ。一人暮らしをシミュレーションするワークショップで若者の金銭感覚を養い、不本意にフリーターやニートになることを防ぐ目的だという。
このときの授業の様子は11月9日の産経新聞でも報じられたが、税金や保険金に関する知識がない生徒もおり、家計について、何にいくらかかるかほとんど知らなかったということだ。それもそのはず、子どもたちにはお金について学習する機会がほとんどないのだ。ちなみに、少しデータが古いが、金融広報中央委員会が20歳以上の男女4000人を対象に、平成15年に行ったアンケート調査でも、金融・経済の仕組みや金融商品、証券投資について、いかに若者のお金に関する知識がないかが分かる。
6月23日のきょういくじん会議でもふれているが、日本ではアメリカなどと違い、学校でお金の教育をする時間がほとんどない。学校でお金の教育をすると家での教育の方針とぶつかってしまったらなど、たしかに難しい面もあるだろう。しかし、単に金融商品などについての知識を教え込むのではなく、今回の「Money Connection」ように自分の収入に合った支出をすることや自分の払う税金が何に使われているかを知り、お金の遣い方を考える中で、将来設計をする力を育てることは必要とされているのかもしれない。
子どもが自分でお金を稼ぎ、銀行を利用するなどの体験ができる施設「キッザニア」が好評なことからも、子どもに何でも買ってやったり高い携帯電話の料金を払ってやったりするだけでなく、自分でお金をマネージメントさせる金銭教育の需要は高まっているのかも。
以下では、金銭教育に役立つサイトやお金の教育に関する活動をしている法人をご紹介する。
- 「育て上げ」ネット
- 若者の就労支援事業などを行うNPO。「Money Connection」で使ったワークシートなど、教材のダウンロードができる。
- ジュニア・アチーブメント ジャパン
- 民間の非営利活動をする世界規模の経済教育団体ジュニア・アチーブメント ワールドワイドの日本版。学校内で会社経営のシュミレーションをできるプログラムなどを用意。教材やプログラムは学校に無料で提供。
- マネーじゅく
- 日本各地で講演会やワークショップを催している。秋の講演会&ワークショップ開催中。冬は12月〜1月まで親子で参加できるおこづかいゲームや講演が東京で開催される予定。
- 日本銀行
- 子ども用に日銀や金融のしくみを解説したページが、児童・生徒の学年別に分けて用意してある。
- 金融庁
- 「おしえて金融庁」では、生徒・児童向けのコンテンツの他、先生用の指導マニュアルなど、さまざまな情報が得られる。
- イー・コン・エド・リンク
- アメリカのNPO、米国経済教育協議会(NCEE)のサイト内の、教師が授業に活用できるプログラムのページ。
- 灘高生が電子確定申告を学ぶ、国税局が体験授業(兵庫)(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20071107wm04.htm - 教諭向けに金銭・金融教育指導者研修会(岩手)(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20071107wm03.htm - 子どもが携帯に月12万円! そんなに使えるものなのか(J-CAST)
http://www.j-cast.com/2007/11/15013421.html
http://agora-web.jp/archives/906579.html
確かに、塩分濃度の計算ができるよりも、金利の計算ができた方が、子どもに生きる力をつけてあげたということになるのではないかと思います。