「きみは背が低いから、背の高いあの子より優秀。」と言われたら、皆さんはどう感じますか? このような差別をテーマにしたドキュメンタリー「特別授業 差別を知る 〜カナダ ある小学校の試み〜」(Radio-Canada / CBC,2006年)が、教育番組の国際コンクールである日本賞のグランプリを受賞しました。子どもばかりでなく、大人にも広がっているその差別教育とはどのような方法なのでしょうか。
いつものように登校してきた子ども達に、先生がある日突然、「科学的な根拠に基づいて、134センチより背が低い子が優秀だとわかった」と説明し、背の低い子だけを特別扱いし始めます。ところが翌日は、「本当は背の高い子が優秀だとわかった」として、子ども達の立場は逆転します。
「そんなの間違っている!」と言う子どもが現れることを、先生、保護者、そして視聴者の多くが望みますが、優位な子どもが最後まで、自分よりも弱い立場の子どもにいじわるをしたり、仲間外れにしたりし続けてしまうという、衝撃的な結果に。仲の良かった子ども達の間に亀裂が入っていく様子や、葛藤する子ども達の姿を見て、心を痛めた方は多いでしょう。この実践とその後の話し合いを通して、子ども達は実際に差別を受けたらどう感じるのか、その辛さ、苦しさ、理不尽さを身をもって痛感します。それは大人になっても忘れられない経験として長期的な影響を与えることになるのではないでしょうか。
今回のカナダでの実践は、1968年、キング牧師の暗殺をきっかけに、当時米国で小学校の先生だったJane Elliottさんが考案した“blue eyes / brown eyes exercise”がもとになっています。目の色でグループ分けをするこの実践は、子どもばかりではなく、今でもElliottさん自身によって開かれる大人を対象としたワークショップでも高く評価されています。
公民権運動から約40年が経った現在でも、変わらずに反響をよび続けているこれらの実践からは、社会で今なお息づいている差別の実状をうかがうことができるようです。今回、カナダの小学校の試みがドキュメンタリー番組となりグランプリを受賞したことは、子ども達にどう差別を教えるかという教育現場の役割を、改めて考えるきっかけを与えてくれるのではないでしょうか。
- 日本賞:カナダの教育番組に決まる(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/edu/news/20071030ddm012040066000c.html
いくら口で説明しても、実際に体験させるに如くはないですね。
口であれこれ説明するよりも実際に体験させた方が、効果てきめんですよね。
日本ではいろいろな弊害があって実践できないのが残念ですが・・・。