14日の東京新聞の記事や中日新聞の記事によると、2日、フィリピンで小学6年生のマリアネット・アンパーちゃんが自殺。貧困によるものと見られています。
マリアネットちゃんの死
現地の新聞・インクワイアー誌は、彼女の死を以下のように伝えています。
自殺の前日、マリアネットちゃんは学校で必要なお金として100ペソ(約260円)を父親に求めました。ですが父親は失業中のためお金がありませんでした。
翌日、父親はダウンタウンの礼拝堂の建設現場での仕事で1,000ペソを工面しましたが、父親が家に帰ったとき、マリアネットちゃんは既に冷たくなっていました。ナイロンのひもで首を吊ったのです。
死後見つかった日記などからは、学校を3日休んだだけで1月も休んだ気になるくらいに彼女が勉強好きだったことや、クリスマスを楽しみにしていた子どもらしい面がうかがえます。
そして、彼女がテレビ番組「I just Wish」に宛てた、未投函の手紙も見つかりました。
そこには、こう書かれていました。
I wish for new shoes, a bag and jobs for my mother and father.
(新しい靴と、新しい鞄が欲しいです。そして、お母さんとお父さんに新しい仕事を与えてください。)
I would like to finish my schooling and I would like very much to buy a new bike.
(わたしは学校をちゃんと卒業したいと願っています。そして、新しい自転車がとっても買いたいです。)
フィリピンの教育事情
財団法人・自治体国際化協会のフィリピンの教育事情によると、フィリピンの小学校の就学率は高い水準にあるが、貧困などの理由により学校に通い続けられない子どもが多いという事情がわかります。
独立行政法人・国立青少年教育振興機構のフィリピンの青少年統計資料(※PDFファイル)も、およそ9割の子どもが小学校に入学するものの、そのうち6〜7割までしか最終学年まで学校にいられないという数値が示されています。
フィリピンは植民地時代のプランテーション農業の体制が未だ残っており、少数の富裕な地主と貧困な小作人という貧富の格差が、このような教育事情の原因の一つと思われます。
カトリックにおける「自殺」とは
キリスト教で最大のローマ・カトリック教会では、「自殺」は神の意思に反することであり、自殺をした魂は天国に入れないとされています。宗教に無頓着な日本人は違和感を覚えるかもしれませんが、命は自分の所有物ではなく神のものであるという意識があるのです。
そのため自殺率も低く、社会実情データ図録の自殺率の国際比較によると、自殺者の割合は10万人あたり2.1人。これは日本のおよそ10分の1の数字です。まして青少年の自殺は少ないそうで、彼女の死はフィリピン社会に大きな波紋を呼んでいます。
8日、アロヨ大統領はマリアネットちゃんの遺族を弔問しました。フィリピン政府は貧困層の教育対策を強める方向で動いているようです。
- 家族の貧困を嘆いた少女が自殺(Inquirer)
http://newsinfo.inquirer.net/topstories/topstories/view_article.php?article_id=... - アロヨ大統領、マリアネットちゃんの死に遺憾の意(Inquirer)
http://newsinfo.inquirer.net/breakingnews/nation/view_article.php?article_id=99...
-
- 1
- 名無しさん
- 2007/11/21 9:02:41
結局は政治の問題なのかな。