きょういくじん会議
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保育所民営化で慰謝料―最高裁
kyoikujin
2007/11/20 掲載

 16日の時事通信の記事によると、大阪府大東市の市立上三箇保育所の民営化の取り消しと損害賠償を求めた裁判で、最高裁は保護者と市の双方の上告を棄却し、市に対して保護者への慰謝料の支払いを命じた二審判決が確定した。

 近年、全国各地で進められている公立保育所(保育園)の民営化。保護者が反対し、その取り消しを求めて訴訟をおこす事例が少なくないようだが、最高裁で判断が示されたのは、おそらくこの訴訟が初めてではないだろうか。

 時事通信の記事だけでは詳細がわからないので、少し整理してみたい。
 まず、確定した二審判決とはどのようなものだったのか。
 保護者の要求は…

  1. 上三箇保育所の民営化を取り消す
  2. 上三箇保育所の民営化条例の無効を確認する
  3. 民営化の混乱に伴う精神的苦痛に対する慰謝料を支払う

というもの。
 このうち、1と2については認められず、3のみ認められ、一世帯あたり33万円が支払われることになった。3については、新旧保育士間の引き継ぎが十分に行われず、子どもの怪我が多発するなど「保育の基本的事項に関わる問題」が続出したことを考慮したようだ。
 二審判決を乱暴に要約してしまえば、「保育所民営化は自治体の裁量の範囲内」「ただし、新しい保育士との引き継ぎは、1年程度かけて慎重にやるべき。今回のように3か月程度の引き継ぎで混乱が起きた場合は、慰謝料が必要」ということらしい。
 全国の民営化取り消し訴訟で、すべてこのように判断されるわけではないが、今回の判断が一定の基準となることは確実といえるだろう。
 民営化を望まない保護者にとっては、慰謝料を得たとはいえ、納得のいかない結果となったもしれないが、筆者周辺では「(実際に民営化して)思ったよりもよかった」という声を聞くこともある。休日にも預かってもらえるようになったことなどが歓迎されているようだ。
 いずれにせよ、今後増えていくであろう民間への移行は、子どもに負担のないように十分に配慮されて行われるべきであるといえる。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
5件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/11/21 8:54:10
    子どもの園でも、毎月のように父母会から民営化阻止のビラが配られていました…。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2007/11/21 9:13:32
    >1
    民営化されると、具体的にどういう不利益があるんですか?
    ママさん教えてください。
    • 3
    • 名無しさん
    • 2007/11/21 23:14:15
    あくまでちょっと聞いただけのイメージですが、公立の先生方は、時間は定時でお給料も安定しているのではないでしょうか。
    • 4
    • 名無しさん
    • 2007/11/22 9:06:09
    やはり民営化では保育の質が下がるといわれています。3さんのおっしゃるように、公立の先生は公務員で、給料も安定していますので、辞職も少なく、1つの園でベテランから若手まで揃っている印象です。

    民営化されると、利益追求型になり、安い給料で雇われた若い保育士が多くなり退職率も高いような話を聞きます。先生が次々に変わると、子どもたちの精神状態にも影響するというのです。

    質の低下というよりは質が保障されないのでしょうかね。いい保育園もあるとは思うのですが…。
    • 5
    • 名無しさん
    • 2007/11/22 9:08:20
    民営化されると公立の保育士はほとんど異動になって、全く別の先生が来て混乱する場合があるみたいですよ。
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