2016年夏季五輪の東京での開催について、「62%が賛成」との世論調査結果が発表された。経済効果を期待する声が大きいようだが、「2度目の東京オリンピック」開催の意義は、どうとらえられているのだろうか。
調査では、招致に対する認知度も、都内で95%、全国で89%に達したという。東京都では以前よりオリンピック招致のPRを展開。東京タワーではオリンピックカラーで「TOKYO」という文字、裏側に「2016」という文字のライトアップを、お台場海浜公園では「オリンピック招致メモリアルツリー」のイルミネーションを展開するなど、啓発活動に一役買っている。また、11月には都内の小中学生に都教育委員会より『みんなで知ろう!オリンピック』というパンフレットがオリンピックの理解促進資料として配布されたという。
経済効果を期待する声がある一方で、根強い反対意見もある。招致にかかる費用が、55億円(東京オリンピック招致委員会HPより)と高額なのもその理由の一つだ。スポンサーからの協賛見込み額を引いても、約15億円が都の負担になるという。福祉政策の充実が求められる中、「他に優先すべき社会問題がある」「税金の使い道として不適切」という反対意見が出るのは仕方のないことだろう。
1964年に開催された前回の東京オリンピックは、敗戦から復興し、「平和的な民主国家」「経済国家」として国際社会に復帰したことを世界にアピールするセレモニーでもあった。聖火は、平和国家日本をアピールする意味合いもあり、過去の戦争において日本が侵略した東南アジア諸国を通り、国立競技場に運ばれた。最終聖火ランナーは原爆が投下された1945年8月6日に広島県で生まれた坂井義則氏がつとめた。この開催は「日本オリンピック」とも言える国家をあげての取り組みであり、「趣のある町並みが道路整備などで破壊された」との批判がある一方、敗戦後の日本人の希望やプライドを高揚させたことで、意義があったともされている。
今回の開催の意義については、都内で1兆6000億円と試算する経済効果の他、「東京オリンピック基本方針」(PDF)の中で都知事は「成熟した東京の姿を世界に明らかにし、世界の諸都市に『範』を示していきたい」としている。オリンピックは「スポーツと平和の祭典」と言われるが、経済大国日本を世界にもう一度アピールする意味合いがあるとも言えよう。
前回の東京オリンピックは、アジアで開かれた初のオリンピックでもあり、「戦後復興」「平和」の象徴として、近現代史の授業で取り上げられることも多い。賛否両論ある「2度目の東京オリンピック」の招致活動と絡めて、日本の戦後について子どもと改めて考えてみるのもいいかもしれない。
- 6割が東京五輪に「賛成」=全国世論調査で速報値−招致委(時事通信社)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200712/2007120600907 - 東京オリンピック聖火最終ランナー 坂井義則氏(JOC-連載・東京オリンピック)
http://www.joc.or.jp/stories/tokyo/20040422_tokyo01.html
大阪とかは身の程を知れって感じですが。
(覚えていませんが)国道の聖火ランナーに旗を降って応援させられました。
だから、東京五輪は昭和39年というメモリアルの認識です。
従って、日本でのオリンピックは「東京以外」を希望してましたが。
かかる金額の方にばかり目がいってしまうのも無理はないと思います。
でも本当に15億円で済むなら、そのほかの無駄遣いに比べれば可愛い気も。
都庁は1500億円かかったらしいですからね。