8日の産経新聞の記事によると、群馬県のブラジル人学校「日伯学園」は同県の私立学芸館高校と提携し、これにより同校では来年度から日本の高校卒業資格が取得可能になる。これは全国でも初の試みで、日本語が不自由なために進学をあきらめていた生徒にも、日本での教育機会が与えられることになる。しかし、実際には、大多数の外国人学校では依然として進学・就職上の制限がある。
悩める外国人学校の経営―閉校する学校も
今回、高校卒業資格を取得できるようになった日伯学園も、ブラジル政府に認可されてはいるが、日本においてはカリキュラムの自由な「私塾」扱いだ。ブラジルの義務教育に相当する教育は受けられるが、日本の卒業資格は取得できないので、日本での進学や就職の選択肢は少ない。
経営上の制約もある。予備校やインターナショナルスクールのように「各種学校」として認可されれば、税制上の優遇もあり助成金も支給されるのだが、そのためには学校用地や校舎を用意しなけらばならない。平成16年からは、他の学校の施設を借用するかたちでも認可されるよう規定が緩和されたのだが、17日の毎日新聞の記事によれば、基準を見直さない自治体も多いようだ。経営難に苦しむ学校も多く、56校あったブラジル政府公認学校のうち、昨年から今年にかけて8校が閉鎖したという話もある。
公立学校での支援は進むも、文化の違いがネックに?
文科省の方針は公教育で外国人児童をサポートしたい、というもので、バイリンガル相談員の設置や、JSL(第二言語としての日本語)カリキュラムの実践など、外国人児童を公立学校で受け入れるよう努力をしている。来年度も19億以上の予算を投入して外国人児童の日本語支援を行うという11月5日の読売新聞の記事もある。
しかし、文科省の調査によれば公立学校に通う外国人の子どもは、全体の約6割というデータもある。不就学者に限ると、学校に行かない理由で一番多いのは親の経済力だが、日本語が分からないからという理由が次いで多く、すぐに母国に帰るから、日本の習慣になじめないから、という回答がならぶ。言語の壁、文化の壁の厚さが感じられる。
9月に群馬県前橋市で行われた外国人児童のいじめを議論する全国フォーラムでは、文化や見た目の違いから生じるいじめが問題となった。そこで主張されたように、日本以外の文化を寛容に受け入れる土壌を学校現場で育てることは重要だが、文化的・金銭的障壁にぶつかってしまう子どもたちを受け入れる場所として、外国人学校は必要なのかもしれない。
外国人学校や公立学校での日本語支援教育など、外国人児童をめぐる問題は複雑化しているが、彼らにとって最もふさわしい教育とはどのようなものなのだろうか。
- 国際化する教室―外国人児童が全国に約2万人(2007/5/22)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/kaigi/?id=20070019 - 学校に行けない? 外国人の子ども―1%が「不就学」(2007/8/3)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/kaigi/?id=20070180 - 静岡県知事がブラジル政府に教員派遣を要請へ(2007/8/21)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/news/?id=20070214
ブラジル人は急激に、一部地域で増加したから話題になりやすいんですかね?
南米は、なんというか大らかそうなイメージ。
そもそも両親が日本に来た目的が、東アジアと南米では違いそうです。