18日のMSN産経ニュースの記事によると、アメリカでは完全に電子化した教科書の普及が始まりそうだとのこと。
紙は一切使わず、子どもたちもインターネット経由で教科書にアクセスするとのことなので、日本のデジタル教科書とは意味合いがかなり違うようです。
元記事によると、現在は実用試験中とのことで、教科書会社とカリフォルニア州・テキサス州が共同で行っているそうです。カリフォルニアでの需要は予想の三倍もあるなど、出だしは順調とのこと。今のところ試行しているのは社会・歴史・数学の3教科。好評のため順次対象教科を広げていく予定だそうです。
効果は?
今回の電子教科書は通常の教科書と同内容のものをデータ化し、動画やアニメーションなどの機能を付加しただけのもののようです。紙の教科書のように書き込みや持ち運びも容易にはできないことを考えると、学習効果に疑問符がつくことも予想されます。しかし、電子版の強みをより生かしたコンテンツを充実させるなど、今後の展開を考えるとわくわく感もありますね。
日本では?
以前、きょういくじん会議の記事でもありましたが、日本ではなかなか学校でのIT環境が整わない状況が伝えられています。劇的な予算措置が採られない限り、今回お伝えしているような形での電子教科書はまだ考えにくいでしょう。
しかし一方で普及が進んでいるのは、教科書各社が発行しているデジタル教科書。黒板と同様に、全員が一つの画面を見ながら授業を進められる点で学習効果も高いようです。各社それぞれに様々な機能やデジタルコンテンツの充実も図ってきていますので、今後の教科書採択の行方にも影響してくるかもしれません。
環境だけでなくICT活用「能力」の向上を
いずれにせよ、進みゆく教室のデジタル化は産業界側からのアプローチという側面が大きそうです。アメリカでの事例を持ち出すまでもなく、日本でも情報教育を積極的に行う学校(教師)とそうでない学校(教師)があるなどICT導入には差があり、その差が児童生徒の「情報格差」となりうる現状があるのかもしれません。もしそうだとすると、やはり学校・教師のICT活用能力の向上に官・民一丸となって取り組む必要がありそうです。教育出版各社も変革をつきつけられているのかもしれません。
- ICT、指導には活かしきれず―教員のICT活用指導力調査(2007/8/2)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/news/?id=20070179 - 学校のIT環境整備進まず―IT新改革戦略(2007/6/13)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/news/?id=20070075 - 光村「国語デジタル教科書」
http://www.mitsumura-tosho.co.jp/digital/ - 東京書籍「NEW HORIZONデジタル教科書1〜3年」
http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/kyozai2006n/mokuroku/mokuroku.php?id=64813
端末は日本の富士通製タッチパネル兼用のものです。
将来的には全教科で行うようです。
実は韓国ではIT関係はかなりの部分で日本より先行していますよ。