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教員の精神性疾患が過去最多に―文科省懲戒処分等調査
kyoikujin
2008/1/13 掲載

 先月28日に、文部科学省は「平成18年度教育職員に係わる懲戒処分等の状況について」(PDF)として、各自治体における懲戒処分と分限処分の実態を発表した。

 懲戒処分、訓告、論旨免職を受けた者は、4531人で前年より445人増。未履修問題で処分された490人が全体の数字を底上げしたと見られている。その他の数字は以下にまとめたとおりである。

懲戒処分、訓告、論旨免職者の推移(括弧内は懲戒処分者の数)
処分事由 18年度 17年度 前年比
交通事故 2390(531) 2406(616) −16
争議行為 17(10) 17(13)
体罰 424(169) 447(146) −23
わいせつ行為等 190(170) 142(124) +48
公費や手当の不正な執行や受給 25(16) 41(35) −16
国旗掲揚、国歌斉唱に係るもの 98(58) 67(64) +31
未履修問題に係るもの 490(28) 0 +490
その他 897(177) 966(257) −69
合計 4531(1159) 4086(1255) +445

教員の「心の病」、10年間で3倍に

 この発表で「心の病」を抱えた教職員の数も明らかになった。病気休職者は7655人で昨年比638人増、そのうち精神性疾患を理由とする者は過去最多の4675人となった。昨年に比べると500人近く増えていて、病気休職者の理由に占める精神性疾患の割合はついに6割を超えた。10年前の精神性疾患による休職者は1609人だったので、ここ10年で3倍近い人数になったことになる。

 うつ病のような精神性疾患は、複数の原因が複雑に絡み合って発症するのだが、保護者への対応、いじめ問題、職員評価、慢性的な多忙など、学校内外からの様々なストレッサーに教師がさらされていることは想像に難くない。潜在的に精神性疾患を抱える教師はもっといるはず、という専門家の意見は多い。

 毎年増えつづける精神性疾患での休職者は、数年前から問題となっていて、各自治体はストレスドックや管理者向けのメンタルケア研修など、様々な健康管理の対策を試みてきた。文科省は事務作業軽減などを検討し、教員の負担を減らすようにしてきたが、いずれも根本的な解決には至っていないといえる。

 新任でもベテラン同様の職務をこなさなければならない体制や、問題を1人で抱え込んでしまいやすい職場環境に原因を見る声もある。一昨年には新任教師がうつ病の果てに自殺をするという痛ましい報道が2件続いた。精神性疾患は原因の特定が難しいだけに、適切な対応策が新たに求められているのかもしれない。

 来年度から導入されるソーシャルスクールワーカー制度等で、教師の心的負担が少しでも減ることに期待したい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
4件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2008/1/18 10:44:04
    はぁ?
    文科省はポーズだけでまだ何もやってないから根本的な解決になるわけないじゃん。
    • 2
    • さくら
    • 2008/1/26 12:00:42
    モンスターペアレント対策が、早急に必要だと感じます。
    • 3
    • マウス
    • 2008/1/26 20:15:27
    名無しさんと同じような意見です。
    私は報道後に何か文科省は手だてをうっているのかと思って調べていたら、そうではなかった。

    私は休職中。もうすぐ復職訓練というところまできました。
    結構しんどいです。でも、現場もしんどいでしょうね。

    とくにかく、みなさまご自身の健康を大切にされてください。
    • 4
    • 名無しさん
    • 2008/1/28 17:58:02
    大事な人材だという意識をもっと持って欲しいです。
    子どもが健全であるためには、教師が健全な心身を持っていることが必要なのではないでしょうか。
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