歌手とライトノベル―第138回芥川賞・直木賞発表
16日、第138回の芥川賞・直木賞受賞作が発表されました。芥川賞は川上未映子さんの「乳と卵」(ちちとらん)、直木賞は桜庭一樹さんの「私の男」が受賞。どちらも日本人、女性、30代の作家の受賞となりました。
今回の芥川賞では、初めて母語が日本語でない楊逸さんの作品が候補作として選ばれたことに話題が集まっていました。
芥川賞選考会は楊さんのこともあり、非常に難航したと21日の産経新聞記事は伝えています。楊さんの作品「ワンちゃん」は最後まで川上さんと受賞を争っており、選考委員会では「この日本語はまだ文学の段階ではない」という否定的な意見もあったそうです。
受賞した川上さんは五千円札でお馴染みの樋口一葉を意識して「乳と卵」を書いたそうです。樋口一葉は明治期の言文一致運動に関わる作家。川上さんも、選考委員の池澤夏樹さんに「読んでいて声が聞こえるような滑らかさ」と評され、文体の独特さを評価されています。また、川上さんはプロのシンガーソングライターとしても活躍中。新聞等にきれいな写真が載っていることも納得ですね。
直木賞については、今回は作品そのものよりも、桜庭さんの作家としての素材を評価する声が多く聞かれたと産経新聞は伝えています。中高生に人気のライトノベル出身の桜庭さんですが、今回の作品は近親相姦が絡んだ、「甘い腐臭が漂う物語」(17日付け毎日新聞記事)。直木賞らしく、ライトノベルとは違った少し大人向けの作品のようです。
芥川賞、直木賞作品ともに、受賞直後は書店にズラっと並びますが、その後の作家の活躍を聞かないこともしばしば。川上さん、桜庭さんの今後の作品に、私たちも注目していきたいですね。
- 日本文学振興会(芥川龍之介賞他)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/ - 芥川賞と直木賞―違いをご存知ですか?(2007/7/19)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/kaigi/?id=20070150
この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
高校生部門がありますよね。
でも小学生くらいなら賞みたいな権威に関係なく、
好きな本を探してほしいかなあ。
どういう選定方法なのか謎ですが・・・。
改めて、思春期の心は繊細なものだなと。