きょういくじん会議
まじめなニュースからやわらかネタまで、教育のことならなんでも取り上げる読者参加型サイト
村に塾を! 福島県川内村の試み
kyoikujin
2008/2/2 掲載

 先週、学校と塾の連携や教育の機会の均等を巡って話題となっていた進学塾講師による有料授業「夜スペシャル(夜スペ)」が、杉並区立和田中学校で開始された。塾と学校の協力関係は様々な形で広がってきているが、1月26日の産経新聞の記事によると、地元に塾がないという理由で公営の塾を開設しているところもあるという。

 福島県双葉郡川内村は、人口3228人(平成19年11月30日現在)、小・中学校ともに1校ずつの小さな村。民間運営の学習塾はない。この村では、2007年4月より民間の学習塾に業務を委託した村営の塾「かわうち興学塾」が開設されている。同村のホームページによると、その内容は以下のようになっている。

  • 小学生5、6年生は、国語、算数。週1日(2時間)で月謝1000円。
  • 中学1、2年生は、英語、数学。週2日(4時間)で月謝1500円。
  • 中学3年生は英語、数学、国語、理科、社会。週2日(6時間)月謝2000円。

※テキスト代別。このほか、長期休み期間の特別学習もあり。

 民間の塾に比べかなり安い月謝だが、年間の運営費890万円には国の交付金や一般財源を充てているという。この地域では通学範囲が広いため、小学生については、塾への送迎にスクールバスを運行している。初年度の19年度は、対象者の7割を超える90名の参加申込みがあったという。

 同じような例として挙げられるのが青森県東通村。1月10日の朝日新聞の記事によると、2005年秋より公営の「東通村学習塾」が開設されているという。この村では、村に進出してきた民間の塾が2002年ごろ撤退していた。月謝は中3で1000円と、こちらも民間の塾よりかなり安く、差額は村が負担する。村には原子力発電所があるため、この税収が運営を下支えしているという。

 川内村などにみられるこのような取り組みの背景には、過疎地ならではの悩みがあるようだ。2007年9月に全国町村会のサイトで発表された川内村長による現地レポートには、以下のように記されている。
 「近年、児童生徒の学力の低下、学習意欲の低迷は本村ばかりでなく全国で叫ばれる大きな教育課題となっているが、本村をはじめとする過疎・中山間地域と都市部との教育環境の格差はますます広がる一方である…学校教育に対し協力的な家庭と学校にまかせっきりの家庭に二分している状況にあって、学校だけが教育課程に基づいて鋭意努力しても学力は伸びてゆかないと考えられる。」
 都市との学力や教育環境の格差に悩む地方の試み、皆さんはどう考えられるだろうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
3件あります。
    • 1
    • ある塾教師
    • 2008/2/2 8:15:21
    過疎の村なら過疎の村らしい教育をすべきでしょう。里山を守るとか、昆虫・植物調査活動とか。都市では付かない学力を付けるといった発想はできないものでしょうか。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2008/2/4 12:30:36
    でも大学受験では同じ土俵に乗るわけですから、都市部を意識することも大切では?
    • 3
    • 名無しさん
    • 2008/2/5 13:00:04
    >1
    都会の人が田舎暮らしに幻想を持つのは勝手ですが、田舎はこうあるべきみたいな幻想を押し付けるのは止めた方がいいと思う。
コメントの受付は終了しました。