![大学「AO入試」とは何だ](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/4620314862.01.MZZZZZZZ.jpg)
国立大学の合格者も発表されはじめ、大学受験もいよいよ終盤を迎えています。最近は推薦入試やAO入試の枠が拡大され、早々に合格を決める受験生も増えていますが、九州大や筑波大ではAO入試の撤廃が決定されました。その役割が問われる中、改めてAO入試について考えてみました。
AO入学組は学力不足?
先月15日の朝日新聞の報道によれば、九州大学法学部はAO入試で入学した学生の成績を調べ、他の学生よりも成績が低いとの理由からAO入試の廃止を決定したとのこと。また、筑波大学国際総合学類では「成績の伸びが見られない」としてAO入試に相当するAC入試の廃止を決定しました。
鳥取大工学部は「求める人材と入学者が合わない学科があった」として3学科のAO入試を廃止し、一橋大商学部、秋田県立大システム科学技術学部でも09年度からの廃止を決定しました。
どの大学でも基礎学力の不足を問題にしているようですが、そもそもAO入試とはどのような能力を測る試験なのでしょうか?
AO入試で成功する大学も
ご存知の通り、日本におけるAO入試は書類や面接などで、受験生のやる気や個性を測るもので、実施する大学は年々増加傾向にあります。文科省の調べによると、国公立大学では、今年は全体の38%に当たる59校が実施しています。私立大ではすでに大半が導入しており、全体の1割弱に相当する受験生がAO入試によって合格しています。一方では、一部の私立大などで受験生確保のためにAO入試を実施していることが問題となっており、基礎学力の低下した大学生が増えると懸念されています。
しかし、AO入試で入学した学生は一律に成績が低いわけではありません。慶応大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)にある環境情報と総合政策の2学部は日本で初めてAO入試を導入した学部で、いずれも定員の15%がAO入試の枠ですが、これまでの総計では「塾長賞」の22%や「塾長奨励賞」の25%をAO入学組が受賞しており、高い成果を残しているというデータもあります。
慶應SFCの紹介ページを見ると、「未来を創造する力」「先端を探求し開拓する力」「自ら学び続ける力」の3つの力を求めており、論理的な思考力や、自ら問題を探求する力を学生に求めています。また、カリキュラムもそれに則ったもので、自ら課題を設定し、それに沿って履修する科目を選択するというものになっています。そして、AO入試では、どのような課題を選びたいか、どうしてそのような課題を選ぶのか、ということを中心に問われます。つまり、大学の求める学生像(アドミッションポリシー)と、AO入試の実施法、そして大学のカリキュラムが密接に結び付いているといえそうです。
法学部でAO廃止を決めた九州大ですが、慶應SFCと同様の学際的なカリキュラムを用意した21世紀プログラムでは、AOのみの選抜でも高い成果を残しているようです。
このようにマッチングが上手くいけば、AO入試は大学、学生の双方にとってメリットのある選抜方法になります。逆に、従来どおりの学力を必要とする学部にとっては、AO入試だけではふさわしくない場合もありそうです。AO入試の導入は単に学力低下を招くものではないにしても、大学側の努力を前提とした、実施の難しい試験方法なのかもしれません。
- 来春、AO入試が過去最多に―国公立大学入試概要(2007/8/30)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/news/?id=20070233
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メディアリテラシーについて深く考えさせられますな。
http://www.asahi.com/edu/news/SEB200802140011.html
「成績の伸びが見られない」ってどこに書いてるんですか?