キツネのお父さんが、「おいしいブタをつかまえてくるから楽しみにしてて」と、お母さんキツネと子きつねに言ってブタの町に出かけます。
ブタの町についたキツネは背後からブタにおそいかかろうとするのですが、キツネを初めて見たその子ブタは怖がるどころかキツネに命令します…
これは、みやにしたつや氏の絵本『きつねのおとうさんがにっこりわらっていいました』(金の星社)のお話。子ブタに命令された父キツネがどんな行動をとるのか、先が気になるところだが…
みやにしたつや氏の絵本は、今の子ども達の多くが目にしたことがあるだろう。というのも、『ふしぎなキャンディーやさん』(金の星社)は小学校低学年の課題図書に、『にゃーご』(鈴木出版)は小学校2年生の教科書に掲載されているからだ。
ユニークなイラストと、思わず主人公に共感できるストーリーで、彼の絵本は子ども達だけではなく、大人にも人気があるようだ。それは、彼のストーリーは、彼自身の子ども時代の実体験から発想を得ているから、とのこと。絵本は、子どもにも分かる簡単な言葉と短い文章で書かなければならない訳だが、それでもしっかりと大人の心にまで届くメッセージが込められている。
そんな絵本作家みやにし氏の絵本の読み聞かせに関する講演を聞いた。絵本作家自身の言葉だけあって、興味深い内容だったので、是非みなさんにもご紹介しよう。
絵本の読み聞かせで大切なのは、「常に子どもの反応を見ながら読む」ということだそうだ。1フレーズ読んだら「間」をあけて子どもの反応を見る。それを確認してから次のフレーズを読む。この「間」が、子ども達のイマジネーションを膨らます時間になるそうだ。
「アニメーションと絵本の違いは、キャラクターや情景を動かすのは読者自身の頭の中である、ということ。そしてその動かし方は、1人1人みんな違っている。頭の中でイメージを描くということ、それは子どもが成長する上で非常に大切なことであり、絵本にしかできないすばらしいところだ。超アナログだからこそ、そのキャラクターや情景を、自由自在に動かすことができるわけです。」
みやにし氏の読み聞かせを実際に聞くと、このことはすぐに理解できる。大人でも、思わず身を乗り出して聞いてしまう語りだ。みやにし氏いわく、「読み聞かせの方法は、子ども相手でも大人相手でも同じなのです。」
自ら絵本をつくるだけでなく、全国をとびまわって、読み聞かせや講演を行っているみやにしたつや氏。是非注目したい絵本作家だ。
とてもわかりやすくたのしく、「絵本っていいな」と心から思いました。
子どもが自分で本を手にして、いつでも気軽に本を読むこどができ、本を楽しめる、そういう子どもがひとりでも育って欲しいと思いました。
そのためには、まず、読み聞かせですね。