きょういくじん会議
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今年も開催! 「天平の煌めき」を今に伝える正倉院展
kyoikujin
2008/9/7 掲載
正倉院の世界 (別冊太陽 日本のこころ)

 2008年10月25日より11月10日まで約2週間にわたって奈良国立博物館にて第60回正倉院展が開かれます。せんとくんのマスコット問題が大きな話題となった平城京遷都1300年祭を再来年に控える奈良県ですが、この正倉院展は毎年開催されており「天平の煌めき」を現代に伝え、私たちの目を楽しませてくれています。今年は工芸品や装身具がまとめて展示されるようで、当時の最先端ファッションを感じることができそうです。

 正倉院に納められている宝物を含め、天平文化は唐の影響や、遠く西アジアの文化の影響を色濃く感じることができますが、これは630年から行われていた遣唐使の存在を抜きには語れません。しかし、航海技術も発達していない時代のことですから、船が難破して目的地にたどり着かないこともしばしばでした。特に日本が663年に白村江の戦いに敗れてからは朝鮮半島を経由しての航路は使えなくなり、南西諸島から東シナ海を横断するという危険な航路を使わざるを得なくなったようです。必死の覚悟で海を渡り、唐の進んだ文化や制度を学び、多くの貴重な宝物を持ち帰った先人たちの偉業には頭が下がります。

 しかし、そんな宝物の中にもこれは何のためにあるのだろう、という謎に包まれた宝物もあり、中でも不思議なのが今回展示される椰子実(やしのみ)です。一回見れば忘れられなくなること受けあいのこの宝物、怒っているのか、泣いているのか、笑っているのか、悲しんでいるのか、なんとも不思議な表情をしており引き込まれてしまいます。みなさんにはどのような表情に感じられるでしょうか? 作られた目的や使用方法などは正式には不明のようですが(流れ着いた実を加工したとの説も)、遣唐使が南西諸島を経由する長く危険な航海の途中に、ふと手に入れた異国の果物を暇つぶしにいたずら書きしていたら、何かの拍子に正倉院に収蔵されてしまったのかも!? などといろいろ想像を膨らましてみるのも楽しいかもしれません。

 また、今回はシルクロードの終着点としての奈良を強く感じさてくれる白瑠璃碗(はくるりのわん)も展示されており、教科書や資料集に載っている写真そのままの輝きを放つ実物を見ることができます。これだけ良い状態で保存されているのは世界的にも珍しいようで、校倉造による正倉院の保存技術の高さも伺えます。

 社会科の教科書には必ず載っている正倉院の宝物ですが、実物を見る機会はそう多くは無いはず。今回は上記の宝物の他にも、帯や装飾品など色鮮やかな展示も多く、奈良へ行かれる際はちょっと寄ってみて、遣唐使の苦労や、1300年前の人々の生活やファッションに思いをはせてみるのはいかがでしょうか?

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2008/9/9 17:35:43
    この記事読んでたらちょっと行きたくなりました。
    たまには関西遊びに行ってこようかなー。
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