きょういくじん会議
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目指せ、真打ち! 「話す力」落語を通じて育てる試み
kyoikujin
2008/9/28 掲載
古典落語入門 ベスト

 毎度ばかばかしいお笑いでございます・・・。で始まり、軽妙な口調で人々の生活のひとコマを面白おかしく語ってくれる日本の古典芸能といえば? そう、落語です。落語に興味がない、という人でも、「寿限無」や「饅頭怖い」、「時そば」などの噺は聴いたことがあるかもしれません。9月4日の読売新聞の記事には、山梨県笛吹市の落語を通じて話す力を育てよう、という試みが紹介されています。

 子どもに落語を通じて話す力をつけて欲しい、との願いから、山梨県笛吹市では3年前から、毎年4〜8月、月2、3回のペースで落語教室「こどもらくご会」を開いており、今年は地元の子どもを中心に39人の小中学生が参加したそうです。

 落語の発祥は古く、安土桃山時代にまでさかのぼり、太閤秀吉に仕えた御伽衆の一人、安楽庵策伝に源を発するという説が有力なようです。策伝は若い頃、説教師として民衆に仏の教えを広めるために、ユーモアある楽しい話をしていたようで、後に千余りの小咄を「醒酔笑」という書物にまとめています。この中には、「牛ほめ」、「子ほめ」、「平林」といった現代の落語に通じるものも収められています。その後の落語の歴史は、時の権力者の弾圧によって盛衰を繰り返しながらも発展してゆきます。江戸時代の文化文政の頃には200軒以上の寄席があったとも言われており、現在でも話されている噺の多くはこの時代につくられました。当然、古典落語の舞台は江戸時代であるものが多く、聞いているだけで歴史の勉強になるかもしれません。その頃には、前座・二つ目・真打ちと言った階級や、師匠について学ぶ一門制度も定着していたようです。

 同新聞記事によると、「こどもらくご会」の指導に当たった落語家の林家彦いちさんの感想として、

しゃべるのが苦手なのは、聞くことができなくて理解力が育ってないから。3年で子どもたちは随分話が聞けるようになった。『そんな真剣に見ないで』と思うくらい

とあり、落語の練習によって話す力だけでなく、毎月の稽古を通じて聴く力も身に付いたようです。
 落語の練習が、ただ噺を暗記してしゃべるだけと思ったら大間違い、噺の筋を理解した上で、間をきちんと取り、上下を切ったり、扇子と手ぬぐいを使った仕草をしたりしなければなりません。更に、これが一番大事ですが、オチもつけなくてはならないので、確かに話す力、聴く力が鍛えられそうです。落語には触れてみたいけど、自分で話すのはちょっと、と言う人は寄席に行ってみるのはいかがでしょうか? 現在、東京には四軒の定席寄席が残っており、毎日、たくさんの噺家が高座をつとめています。江戸の風情を感じつつ、笑いでストレス解消が出来るかもしれませんね。

 では、最後になぞかけをひとつ。

 下手な噺家の落語、とかけまして、
 子どもの発表を見守る親の気持ち、と解きます。

 その心は?

 落ち(オチ)つかなくて、そわそわするでしょう。

 お後がよろしいようで。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2008/9/30 18:33:23
    座布団一枚!
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