きょういくじん会議
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野外活動、スズメバチに厳重注意!
kyoikujin oec
2008/10/5 掲載
R/C 虫メカシリーズ 03 ハチ

 1日の京都新聞の記事2日の新潟日報の記事のように、日本各地でスズメバチによる子どもたちへの被害が多発しています。スズメバチは春から秋にかけて活動を続けます。野外活動などで野山に散策することも多いこの季節、スズメバチの生態と脅威をよく知って、適切な準備と対応をしなくてはいけません。

スズメバチの脅威

 「スズメバチは地上で最も危険な生物」という人がいるように、スズメバチの毒は人に効果的に害を与えるような組成になっています。厚生労働省の人口動態統計(PDF)によれば、全国で年間およそ30人前後の人がスズメバチに刺されて命を落としており、これはマムシや熊などによる死者と比べても非常に多い数です。
 スズメバチの場合、一度刺されて軽症だったとしても、二度目以降はアナフィラキシー・ショック(アレルギー反応による呼吸困難や血圧低下)を引き起こし、重症になる可能性があります。スズメバチによる死亡の原因は、おもにこれによるものです。
 死に至らないまでも、スズメバチの毒は強力で、激しい痛みやかゆみ、炎症、体温上昇、麻痺などを引き起こします。

教員・親の注意すべきこと

 それでは、子どもたちを保護・指導する立場にある者としては、どのような点に注意すればよいでしょうか。

黒っぽい衣服は避け、帽子をかぶる。
ハチは黒いものを優先して攻撃する傾向があります。また、頭部を刺されると重症となる可能性が高いため、帽子を被ると安全性が増します。長袖・長ズボンを着用し、軍手などをするとさらによいでしょう。
香水や整髪料は身につけない。
香水などには、ハチの攻撃本能を刺激するフェロモンが含まれている可能性があります。このほかにもハチを引き寄せるものとして、ジュースやお菓子、ビールなどの甘いものも挙げられます。時には飲料の缶にハチが入っていたことに気がつかず、口内を刺されることもあるそうです。
大きな音を立てたり、激しく動いたりしない。
音や振動がハチを刺激し、攻撃される恐れがあります。野山の木を不用意に揺らしたりすると、ハチの巣があった場合、非常に危険です。また、ハチが近づいた場合には、パニックにならないことが大事です。もしバスや車の中にハチが入ってきたら、騒がずに窓をあけておけば、ハチは明るいほうに向かう性質があるため、じきに出ていくでしょう。
ハチの巣に近づかない。
ハチが周りを飛び始めたら、近くに巣や餌場があるかもしれません。速やかに、姿勢をひくくして、声や振動を立てないように去ることが懸命です。一度行ったことがある場所でも、ハチの巣の場所は毎年変わりますし、新たな餌場を探してハチが移動している可能性もありますので、油断は禁物です。
死んだハチにも触らない。
たとえ腹部だけの死骸でも反射で刺すことがあります。

刺されてしまったら…

 万が一刺されてしまった場合にはどうすればよいでしょうか。
 まず、水道水などで傷口を洗い、手で毒をしぼり出すようにします。口で吸うことは避けます。口内の傷から毒が回ることがあるためです。「ポイズンリムーバー」という毒を抜き出す器具が市販されていますので、予め用意しておくこともよいでしょう。
 また、巣が近くにある可能性もあり、再び刺される危険性がありますので、その場から50メートルほど離れます。
 上述したアナフィラキシー・ショックを防ぐためには、医師の処方により、エピペンと呼ばれる注射式の薬を準備しておき、ハチに刺されたあとに注射することである程度の応急処置とすることができます。
 なお、治療方法として「尿やアンモニアをかけるとよい」というのは間違いで、かえって有害なので注意が必要です。

※ハチに刺された場合の詳しい対処法については、医師の適正な指示に従ってください。

 子どもたちに自然と触れ合う機会を与えることも大切ですが、ゲームソフトの「どうぶつの森」のように、ハチに刺されても一晩ですっかり治る! というわけにはいきません。
 自然のすばらしさと同時に、自然の持つ危険性もきちんと教えることが重要だと言えるでしょう。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2008/10/6 15:26:47
    スズメバチは確かに怖いですが、ハチノコを食べるのも同じくらい怖いです。絶対無理・・・。
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