きょういくじん会議
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マタニティマークの普及に見る、街の子育て「前」支援
kyoikujin
2008/10/18 掲載
シアーズ博士夫妻のマタニティブック

 先日、電車の中で慌てて若い女性に席を譲る経験をしました。彼女は妊婦さんだったのです。流行の秋のファッションに身を包んだ、一見私と同世代のこの女性。彼女が妊婦だと教えてくれたのは、その素敵な鞄に提げられた、はじめて目にする「マタニティマーク」のキーホルダーでした。皆さんはこのマークをご存知でしょうか。

 マタニティマークとはずばり「おなかの中に赤ちゃんがいます」というマーク。すなわち自分が妊婦さんであることの意思表示です。もともと地方自治体単位で取り組まれていた活動ですが、厚生労働省でも「すこやか親子21」という計画の一環として、平成18年から普及活動がはじまりました。
 具体的なねらいは、交通機関における席の優先・飲食店での禁煙席導入・職場やその他公共事業を通しての配慮―にあります。つまり、「妊婦さんにより優しい社会を作ろう」という動きです。

 少子化が問題となってからかなりの年月が経ち、その対策として「子育て支援」が重要視されているのは疑いの無いところです。今の子育て支援が論議されるとき、「子ども手当て」や「認定子ども園」など産まれた「後」の保障が中心だと感じます。「安心して子どもを産める社会」=「子育てに対する経済的・社会的不安の少ない社会」と考えれば、働く女性の増加と並行して、これはますます重要になってくる視点だと思います。しかし、妊婦さんに対する子育て「前」支援はまだまだ遅れているのではないでしょうか。先に紹介したマタニティマークの配布も義務ではなく、各地方自治体で実施状況にバラつきがあります。また、企業においても産後の育児休暇・時短より、産前の同制度の導入の方が遅れていると感じます。「マタニティ休暇」として導入を試みる企業が増えているとは聞きますが、様々な会社で働く友人に聞くところでは、本格的な動きはこれからの様です。

 安心して子どもを産める社会の実現には、子育てがしやすいだけではなく、文字通り「産みやすい」ことが必要だと思います。地域の繋がりが薄れていると言われ、赤ちゃんをめぐる悲しい事件が頻発している現代においては、街での優しい目を育むことも大切な観点ではないでしょうか。
 「チョっと」の気配りが、妊婦さんの「ホッと」になる、そんなマタニティマークに男性の私も一票!

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
3件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2008/10/19 12:49:05
    このマーク、つけていて恩恵をうけたことはありませんが、人ごみの中ではちょっと安心です。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2008/10/20 19:15:48
    目の前に立っている女性がマタニティマークをつけているかなんてじろじろ見るわけにもいきませんから、明らかにお腹が大きいのでなければなかなか気付かないですよね。ご老人も見た目ですぐわかるので良いのですが、もし見過ごした妊婦さんがいたらごめんなさいという感じです・・・。
    • 3
    • 名無しさん
    • 2008/10/21 21:35:22
    ご老人は、ご本人のご意思があるから難しいです。譲って不快な思いをさせてしまった経験が有り、それ依頼、杖を持っていたり、明らかな方のみにしか譲れていません。

    どちらかというと、シルバーマークが欲しいかも。
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