きょういくじん会議
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本が虐待されている! モラルの低下が招いた図書館の現状
kyoikujin
2008/11/15 掲載
300ピース 午後の図書館 3-732

 気軽に小説や専門書を手に取ることができ、時には書店にはないような貴重な資料を閲覧することができる図書館。通勤・通学の合間に読む本を探したり、レポートの調べ物をしたり…と足を運ぶ人も多いことでしょう。
 私たちに有益な情報を多く提供してくれる図書館が、ある深刻な問題を抱えていることが明らかになってきました。

 9日の読売新聞によると、2007年度に全国主要都市の公立図書館で約28000冊の本が行方不明になっているというのです。多くは、無断で持ち出されそのまま返却されないケースだそうです。中には、表紙だけを残して中身を切り取ったり、雑誌の特定の箇所を切り取ったりと悪質なものも数少なくありません。
 地域の新聞に目をむけると、「本の無断持ち出し」が全国的な問題になっていることがわかります。島根県立図書館では1年間に434冊が、金沢の図書館では、102万冊が持ち出されているとの報道があります。(山陰中央新報読売新聞。)

 非常に残念なことに、図書館での蔵書の被害は、無断持ち出しだけではありません。書き込んだり、しおり代わりにページを折ったりしたことでの本の破損、また雨やコーヒーなどの汚れや、ペットにかまれて破けるなど、故意でないにしろ結果的に使えなくなってしまうケースも多く報告されています。
 みなさんの中にも、楽しみに借りてきた本が汚れていたり破れていたりしてがっかりしたという経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

 これに対して、各市町村ではいろいろな対策を講じているようです。横浜市や兵庫県三田市では蔵書の現状を知ってもらおうと、被害にあってぼろぼろになった本を展示したりホームページで呼びかけたりしています。
 また、本にICタグをつけて無断持ち出しを防ぐ手段も多く検討されているようですが、予算の関係で実現しない地域もあるようです。
 職員の巡回を増やして監視が強化している図書館もあるようですが、多くは利用者のモラルにを信じるしかないようです。

せっかくの図書館も、物々しい雰囲気の中ではゆっくり本を閲覧することが出来ません。図書館という場所を守るためにも、一度「モラル」について一人一人が考える必要があるかもしれません。そして、誰も不愉快な思いをせずに利用できる図書館を、身近なところから自分達でつくっていきませんか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 今年は野武士
    • 2008/11/15 21:17:04
    近所に図書館があります。というより図書館の近くに家を建てたというべきかもしれません。この記事を見て、近所の図書館に対する関心が高まりました。いつもよく利用する子供たちに、借りてきた本が破損していたなんてことはないか尋ねてみようと思います。まず自分の家族からマナーを点検してみようと思います。
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